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今はレギュラーが遠くても……やっぱり期待大な万波中正の「スター性」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#121】

まもなく始まるオープン戦では選手たちが一軍入りをかけて、あるいはレギュラーの座をかけてしのぎを削る。この期間、万波中正はどんなアピールを見せてくれるのか、注目したい。

2020/02/22

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厳しいとわかっていても、楽しい選手

 
 先週19日の練習試合(広島戦)は面白かった。この日、万波はさっぱりだった。連続見逃し三振。変化球につられまいとするあまり、まっすぐにタイミングが合わない。カープの捕手は會澤翼だ。見透かされていた。GAORA解説者の建山義紀さんは「ストレートを待ってて外の変化球にバットが止まるならいいんですけど、万波は変化球を待っててバットが止まっている。これはズバッと来られたら手が出ません」とコメントされていた。まずはストレートを待って強く弾き返すべきということだった。僕が鎌ケ谷で去年見た感じでいうと、それはできるんだな。ただ変化球にやられる。結局、まだ技術が追いついていない。この広島戦は結果が欲しいからどうしても変化球に意識が向いていた。
 
 だけど連続見逃し三振が陰気なムードにならないのが万波のいいところだ。いや、本人はしょげ返っているのだが、ベンチも実況席も笑顔が絶えない。あー、これダメなんだなー。あー、やっちゃったー。空気が上がる。みんな楽しそうなのだ。それか心配してやる。ホント人気者だなぁと思う。(三振したのに)万波が主役になっている。
 
 で、7回裏、2死1、2塁からライトオーバーの2点タイムリー二塁打を放つのだ。軽く当てただけみたいなバッティングなのだが、打球がグーンと伸びた。万波の打球は飛ぶのだ。え、あれがそんなに飛ぶの?、というのがしょっちゅうだ。で、ここが大事なとこだが、みんな大喜びしてしまう。GAORA実況席も大騒ぎになった。楽しくなるのだ。この明るさは何だろうと思う。こういう選手はなかなかいない。ファイターズでいちばん近いのは中田翔だろう。中田も打てないときはみんな心配になり、ホームランをかっ飛ばすと思わずバンザイしてしまう。陽性なのだ。大谷翔平は優等生だったけど、中田は一貫してやんちゃ坊主。
 
 他球団でパッと浮かぶのは柳田悠岐だなぁ。持ち味が明るい。いや、まだ万波は中田、柳田といったチームの顔にはまったく及ばないのだ。そもそもレギュラーが遠い。いつか主軸を打つ選手になって欲しいが何年かかるか。今年はオープン戦でチャンスをもらえそうだけど、1軍に残れるかどうかギリギリの選手だ。本人もそれはわかっていて、まず守備の計算できる選手になろうとしている。現実的には勝ち試合で守備固めに入って、1打席もらえるかどうか、もらえたらめっけもんだろう。
 
 つまりこの先、日程が進むにつれ万波劇場は終焉を迎え、彼は脇役にまわる。それはみんなわかってる。だけどね、あんな楽しい選手いないんだよ。オープン戦どこまで食らいつくか。シーズン始まってどんな姿を見せるか。僕は楽しみで仕方ない。あなたもそうですよね?
 
試合をつくれる実戦型投手が先発ローテに。ドラ1ルーキー河野がチームの浮沈を握る【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#122】
 

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