勝負の夏、やはり広島とオリックスは浮上してくる！【小宮山悟の眼】
交流戦も終わり、これから勝負の夏を迎える。開幕前に優勝候補といわれ、これまで苦戦しているカープとバファローズだが、ここから巻き返してくるだろう。
2015/07/01
大混戦セはやはり広島に注目
さて、セリーグは史上稀に見る混戦となった。各チームともほぼ横一線。のこり70試合ではチームの底力が問われるだろう。
なかなか思い通りの結果を残せない巨人だが、ソフトバンクと同じように「普通」に戦えれば問題ない。巨人にとっての普通とは、内海哲也がマウンドに上り、阿部慎之助、村田修一が元気にプレーすること。それさえ叶えば今シーズンもトップに立てる。
DeNAの連敗には、それほど驚きはなかった。投手の柱がいないので、そういう事態も起こるだろうし、開幕からのトータルの成績は実力通りとも言える。語弊があるかもしれないが、少し頑張りすぎたのだ。
注目は、一時期の最悪の状態から脱した広島。ようやく、ファンの方たちが「ひょっとしたら」と思えるような試合をできるようになってきた。やはり投手陣が良いので、残り70試合を戦う上で計算ができる。
懸念を挙げるとすれば、大瀬良大地の中継ぎ転向だ。チーム戦略に外野がゴチャゴチャいうべきでないことは承知しているが、個人的には先発で使い続けてほしいと思っている。
確かに大瀬良は先発として1勝6敗と結果が出ていなかった。ナイスピッチングをしていても、運悪く打線の援護とかみ合わない。当然、チーム内には「大瀬良を勝たせたい」というムードが充満するだろうが、実はその思いが強すぎると、マイナスに働くことも多いのだ。
ロッテでの現役時代、私も打線の援護に恵まれなくて、完投したのに負けたことが何度もあった。ベンチは「小宮山に勝たせよう」として、０－０とか１－１の同点の場面では投手交代に踏み切れなくなってしまう。そうすると結果的に打ち込まれてしまう機会も多くなってしまうのだ。
大切なのは、「大瀬良に勝ちをつけよう」ではなく、「チームが勝つために」という意識を持つこと。ベンチが躊躇なく同点の場面でも交代させる。それが結果的には本人のためになるのだ。そうすれば大瀬良は先発として復活できる。
投手心理としては、好投していながら同点の場面でマウンドを降りるのを嫌うだろう。しかし、そんなことで選手が文句を言ってはいけないし、球団側も言われないような配慮が必要だろう。
そこでクローズアップされるのが黒田博樹の存在だ。MLBでピッチャーは、勝ち星でなく、投球回数やクオリティスタートのスタッツで評価される傾向にある。自分に勝がつくかどうかより、6回以上を3失点以内に抑える投球を、安定して続けられるかどうか。その世界を生き抜いてきた黒田のアドバイスが意味を持ってくる。
0-1で負けた後に、10-1で勝つのは効率が悪いように思えるが、肝心なのは、投手陣が2試合で1失点ずつしかしていないこと。そういう試合を続けていければ、シーズンを通してチームとして結果が出てくる。黒田イズムが大瀬良を筆頭とする広島投手陣に浸透すれば、必ずチームは浮上するだろう。
私の開幕前の予想は、パリーグがソフトバンクの優勝。そしてそれに迫るオリックス。セリーグは巨人と広島の優勝争い。
この予想は絶対に変えない！
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小宮山悟（こみやま・さとる）
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ（現千葉ロッテマリーンズ）へ入団。精度の高い制球力を武器に１年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ（現横浜ＤｅＮＡベイスターズ）へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Ｊリーグの理事も務める。