カープはいかにして一流選手を育て上げるのか。――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#1
V奪還を目指し新体制となった広島東洋カープ。佐々岡真司新監督をはじめ、カープ出身の指導者たちが語った一流選手を育てる「カープの育成術」とは。カープ戦実況歴20年、長年カープを見てきた中国放送(RCC)アナウンサー・坂上俊次氏の新刊『「育てて勝つ」はカープの流儀』から一部抜粋で公開。
2020/03/05
人気の源泉は“共感”
これまでも、カープでは多くの選手が育ってきた。ドラフト下位指名であっても、猛練習でトッププレーヤーになった例も少なくない。外国人選手も、カープにやってきて才能が開花したケースが目立つ。どんな人材が大きく成長するのか。また、カープはいかにして、一流選手を育て上げるのか。その方法論に迫るのが、本書の狙いである。
2019年も、カープは223万人を動員、マツダスタジアムは連日の大入りが続いた。テレビ・ラジオでカープが話題に挙がらぬ日などない。テレビCM、ポスター、看板、どこに行っても、広島の街はカープ一色である。賑わいは地元だけではない。全国放送や全国紙でクローズアップされる機会も増え、ビジター球場が真っ赤に染まることも珍しくなくなった。
人気の源泉は、選手の魅力や展開する野球の面白さがメインであろう。ただ、それだけではないような気がする。野球ファンは、カープが70年かけて築いてきたカルチャーに共感しているのではないだろうか。
スカウトが全国を走り回り、カープにマッチする選手を探し出す。指導者は、ドラフト上位から下位の選手まで愛情を持って育て上げる。そのプロセスにファンが共感していることは、二軍の由宇練習場(山口県)のファンの眼差しを見れば一目瞭然である。
そして、選手たちは、チーム内競争を戦いながらも、家族のような絆で結ばれている。ベテランが若手の活躍にガッツポーズを見せ、ヒーローになった若手はベテラン選手と抱き合う。だからこそ、進塁打にベンチが沸き、マウンドの投手は味方の好守に賛辞を惜しまない。
そんなカープ野球の結晶が2016年シーズンからのリーグ3連覇であった。2019年はBクラスに沈んだが、こんなときこそカープ野球の真価が問われる。旗印は「一体感」。フォア・ザ・チームの本当の意味を知る指揮官が、カープ野球の真骨頂を見せつける。
本書は、球界でも定評のあるカープの育成術に迫るものである。同時に、働き方改革なども叫ばれる昨今である。選手育成からの結果のみならず、そのプロセスからも日々のヒントを見つけたいと思う。1960〜70年代の猛練習。1990年代、野村謙二郎、金本知憲、前田智徳、そして佐々岡真司が背中で伝えたプロ意識。そこから、猛練習と工夫のハイブリッド世代。成長に近道はあるのか、遠回りこそ学びの要素が多いのか、はたまた第3の道があるのか。カープの歴史を彩った指導者の話に耳を傾けたい。結論は、そのあとかもしれない。
佐々岡監督が強調する “一体感”とは。大エースの静かなる船出――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#2
よみがえる安仁屋イズム。受け継がれる練習量――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#3
「あのケガがあったから今があります」。幻の天才打者・朝山東洋の仕事――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#4
笑顔ある猛練習。倉義和が捕手を鍛え上げるために続ける工夫――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#5
書籍情報
【内容紹介】
球団創立70年 強さの礎は、いつの時代も変わらず
名選手を輩出する土壌、脈々と受け継がれる“育成術”
カープ戦実況歴20年の名物アナウンサーが徹底取材
「猛練習」「工夫」「チームワーク」「愛情」
カープはいかにして、一流選手を育て上げるのか?
球界でも定評のあるカープの育成術に迫る
これまで、カープでは多くの選手が育ってきた。ドラフト下位指名であっても、猛練習でトッププレーヤーになった例も少なくない。外国人選手も、カープにやってきて才能が開花したケースが目立つ。 どんな人材が大きく成長するのか。また、カープはいかにして、一流選手を育て上げるのか。その方法論に迫るのが、本書の狙いである。
1960~70年代の猛練習。1990年代、野村謙二郎・金本知憲、前田智徳、そして佐々岡真司が背中で伝えたプロ意識。そこから、猛練習と工夫のハイブリッド世代。成長に近道はあるのか、遠まわりこそ学びの要素が多いのか、はたまた第3の道があるのか。カープの歴史を彩った指導者の話に耳を傾けたい。
アマゾンなどで予約受付中です↓
『「育てて勝つ」はカープの流儀』
【著者紹介】
坂上俊次(さかうえ しゅんじ)
中国放送(RCC)アナウンサー。1975年12月21日生まれ。兵庫県伊丹市出身。1999年に株式会社中国放送へ入社し、カープ戦実況歴は20年になる。スポーツ中継のほかに、ラジオ「それ聴け Veryカープ」、テレビ「Eタウンスポーツ」などを担当。また、中国地方をスポーツ関連産業で盛り上げるためのプロジェクト「ちゅうごく5県プロスポーツネットワーク(スポコラファイブ)」の座長を務める。著書に『カープ魂 33の人生訓』『惚れる力』、(サンフィールド)、『優勝請負人』(本分社)、『優勝請負人2』(本分社)があり、『優勝請負人』は、第5回広島本大賞を受賞。現在「デイリースポーツ広島版」「広島アスリートマガジン」で連載を持っている。