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よみがえる安仁屋イズム。受け継がれる練習量――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#3

V奪還を目指し新体制となった広島東洋カープ。佐々岡真司新監督をはじめ、カープ出身の指導者たちが語った一流選手を育てる「カープの育成術」とは。カープ戦実況歴20年、長年カープを見てきた中国放送(RCC)アナウンサー・坂上俊次氏の新刊『「育てて勝つ」はカープの流儀』から一部抜粋で公開。

2020/03/09

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「佐々岡監督とワシは考え方が合うね」

 佐々岡監督が就任し、2019年の秋季キャンプは新体制でスタートした。選手の笑顔に砂浜トレーニング、明るく厳しい練習の様子に目を細めるのが、カープOB会長の安仁屋宗八である。カープ一・二軍の投手コーチ、二軍監督として1980年代の投手王国を築き、愛情あふれる語り口でラジオパーソナリティーや野球解説者としても人気を博している。
 
「佐々岡監督への期待は、それ。砂浜ダッシュもそう。ものすごくキツイよ。そういうのはどんどんやらせて選手を鍛えてほしい。週に1回でも少ないくらい。うん、最低週1回は砂浜で足腰を鍛えてほしいね。佐々岡監督とワシは考え方が合うね。彼は、ある程度、昔の野球のいいところも知ってくれている。お互い、言いたいことも言う性格だし、バッターに向かっていく気持ちを大事にすることも共通している」
 
 数年前の春季キャンプ。臨時コーチとしてやってきた安仁屋に、コーチだった佐々岡が声を掛けた。
 
「安仁屋さん、ピッチャーに砂浜を走らせましょうや!」
 
 嬉しかった。安仁屋の魂は、伝わっていたのだった。
 
 投げ込み、走り込み、飲みニケーション、デッドボール覚悟の内角攻め、通算119勝の大投手は数々の逸話を残す。「月まで走ってこい」「宿舎にいるなら、外に遊びに出ろ」。コーチ時代に残した安仁屋語録も有名だ。その言葉は豪快なだけでなく、どこか優しさとユーモアが含まれている。
 
 評論家となった今、口癖は「カープ日本一」。どこまでもカープを愛し、どんな時代もペナントレース予想は「カープが優勝」。シーズンの予想勝星が100勝を超えることも少なくない。どこまでも鬼になって選手を鍛え、どこまでもカープを愛情で包む75歳。喜怒哀楽のすべてをカープに注ぎ込んできた安仁屋は、佐々岡新体制でのV奪回を確信する。

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