笑顔ある猛練習。倉義和が捕手を鍛え上げるために続ける工夫――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#5
V奪還を目指し新体制となった広島東洋カープ。佐々岡真司新監督をはじめ、カープ出身の指導者たちが語った一流選手を育てる「カープの育成術」とは。カープ戦実況歴20年、長年カープを見てきた中国放送(RCC)アナウンサー・坂上俊次氏の新刊『「育てて勝つ」はカープの流儀』から一部抜粋で公開。
2020/03/11
カープで育った男が後進の育成へ
現役19年、一軍定着には8シーズンを要した。2016年の引退試合は、エース黒田博樹がマウンドに上がりコンビを組んだにもかかわらず、1回表2死1・3塁で降雨ノーゲーム。41歳のベテランの最後のプレーは、中止後の雨中ダイヤモンド激走、からのヘッドスライディングだった。縁の下の力持ちは、悪天候を忘れさせてくれるような笑顔に包まれて、グラウンドを去った。ただ、後日の振替試合後に行われたセレモニーでの挨拶が、実にカープ一筋の苦労人にふさわしいものだった。
「入団して19年、下手くそだった自分をここまで育てていただき、ありがとうございました」
カープで育った男は、引退後、二軍バッテリーコーチとして後進を指導することになった。今度は、自分がカープの捕手を育てる番である。
カープはいかにして一流選手を育て上げるのか。――カープ出身の指導者たちが語る「カープの育成術」#1
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書籍情報
【内容紹介】
球団創立70年 強さの礎は、いつの時代も変わらず
名選手を輩出する土壌、脈々と受け継がれる“育成術”
カープ戦実況歴20年の名物アナウンサーが徹底取材
「猛練習」「工夫」「チームワーク」「愛情」
カープはいかにして、一流選手を育て上げるのか?
球界でも定評のあるカープの育成術に迫る
これまで、カープでは多くの選手が育ってきた。ドラフト下位指名であっても、猛練習でトッププレーヤーになった例も少なくない。外国人選手も、カープにやってきて才能が開花したケースが目立つ。 どんな人材が大きく成長するのか。また、カープはいかにして、一流選手を育て上げるのか。その方法論に迫るのが、本書の狙いである。
1960~70年代の猛練習。1990年代、野村謙二郎・金本知憲、前田智徳、そして佐々岡真司が背中で伝えたプロ意識。そこから、猛練習と工夫のハイブリッド世代。成長に近道はあるのか、遠まわりこそ学びの要素が多いのか、はたまた第3の道があるのか。カープの歴史を彩った指導者の話に耳を傾けたい。
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『「育てて勝つ」はカープの流儀』
【著者紹介】
坂上俊次(さかうえ しゅんじ)
中国放送(RCC)アナウンサー。1975年12月21日生まれ。兵庫県伊丹市出身。1999年に株式会社中国放送へ入社し、カープ戦実況歴は20年になる。スポーツ中継のほかに、ラジオ「それ聴け Veryカープ」、テレビ「Eタウンスポーツ」などを担当。また、中国地方をスポーツ関連産業で盛り上げるためのプロジェクト「ちゅうごく5県プロスポーツネットワーク(スポコラファイブ)」の座長を務める。著書に『カープ魂 33の人生訓』『惚れる力』、(サンフィールド)、『優勝請負人』(本分社)、『優勝請負人2』(本分社)があり、『優勝請負人』は、第5回広島本大賞を受賞。現在「デイリースポーツ広島版」「広島アスリートマガジン」で連載を持っている。