2010年はホークス育成出身“黄金世代”。大卒出身選手も増加傾向…ソフトバンク、育成ドラフト指名から支配下へと這い上がった選手達【第2回】
福岡ソフトバンクホークスの育成契約から1軍戦力に育て上げる手腕が高く評価されている。16日には尾形崇斗投手とリチャード内野手を支配下登録するなど、どんどん新しい芽が出てくる。過去に育成から支配下へ上がった選手の変遷を追い、ドラフト指名戦略や育成方針などを探る。全3回の第2回。
2020/03/23
“黄金世代”2010年指名選手
そして来たるは大豊作の2010年。選手層の厚いホークスで、主力選手にまで上り詰めた選手を3人輩出した。創生期の高卒選手台頭の影響か、この年は指名6選手中5人が高校生。そのうちの下位指名3選手が大成しているのだ。
まずその筆頭は、今や野球日本代表「侍ジャパン」でもエース格となった千賀滉大投手。最速161キロの速球と、「お化けフォーク」と評されるほどの落差を誇るウイニングショットを武器に三振の山を築いている。
そんな千賀だが、高校時代は無名の存在。アマチュア球界に詳しいといわれる千賀の地元・愛知県のスポーツ店店主の薦めで、当時のスカウトが指名に踏み切ったという。
千賀は、2年目の2012年に支配下契約を勝ち取り、翌13年には1軍のセットアッパーへと成長。先発に転向した後の2016年には12勝3敗、防御率.2.61の好成績をマーク。以降もコンスタントに成績を残し続け、2017年に最高勝率、昨年は最多奪三振のタイトルに加え、ベストナインとゴールデングラブ賞を獲得している。
また、昨年の9月7日、令和初のノーヒットノーランを甲斐拓也捕手との育成出身バッテリーで達成した。
そんな甲斐も高校時代は無名。当時の高校の監督が、ホークスのスカウトに連絡しテストとして視察。その際に才能を高く評価され、指名に至ったという。今では「甲斐キャノン」と評される強肩で幾度となく盗塁を阻止。ホークスの正捕手にとどまらず、侍ジャパンにも定着した。
甲斐は、3年目の2013年オフに支配下契約。以降は1軍の壁に苦しんだが、2017年に当時の登録名「拓也」から本名の「甲斐拓也」に変更。これを機にブレイクし、正捕手に定着すると、2017年にはベストナインとゴールデングラブ賞の二冠、ゴールデングラブ賞は3年連続で受賞している。昨年は千賀とともにバッテリーで受賞を果たし、打撃でも自身初の規定打席にも到達。打率.260、11本塁打をマークした。
そして3人目の牧原大成内野手は、初球からバットを振っていく積極性を売りに、俊足巧打、内外野をこなすユーティリティー性で、今やチームに欠かせない選手の1人となっている。
千賀と同様、2年目の2012年に支配下契約を勝ち取った牧原。2軍では好成績をマークし続けていたが、ケガや不調で長らく1軍の壁に苦しんでいた。しかし2018年の後半戦で大活躍。59試合出場ながら打率.319をマークした。昨年は自身初の開幕スタメンを勝ち取り、規定打席にはわずかに届かなかったが、114試合出場で打率.242の成績をマークした。