楽天・松井裕樹の先発転向、成功の鍵握る要素とは 「クローザー→先発」の現役選手から傾向を探る
2020/03/25
東北楽天ゴールデンイーグルスの守護神として活躍を続けてきた松井裕樹投手が、今季から先発に転向する。試合を締めくくる役割であるクローザーから、先発へと転向する例は歴代を遡ってみてもそう多くはない。今回は現役選手の中で、クローザーから先発に転向した例を振り返り、松井の先発転向において成功の鍵と言える要素を紐解いていきたい。
山口俊(現トロント・ブルージェイズ)
今オフに読売ジャイアンツから球団初のポスティングシステムを利用し、ブルージェイズにメジャー移籍を果たした山口俊投手。横浜DeNAベイスターズに所属していた当時、2009年から2012年まではクローザーとして活躍し、2012年には当時史上最年少で100セーブを達成した。
2013年は、前年に引き続いてクローザーとしてシーズンに入るも不調が続き、2軍降格も経験。2014年はセットアッパーとして開幕を迎えたが、再び不調の登板が続き、シーズン途中に先発へと転向した。すると、転向後は見違えるほどの安定した投球を披露し、17先発でシーズン8勝をマークした。
この年を境に先発投手としての地位を確立した山口。巨人にフリーエージェント(FA)移籍して以降も先発としての役割を担った。昨季は自己最多の15勝をマークし、最多勝、最多奪三振、最多勝率を受賞する「投手三冠」の活躍で、チームのリーグ優勝に大きく貢献した。
増井浩俊(現オリックス・バファローズ)
増井浩俊投手は、2017年オフに北海道日本ハムファイターズからFA権を行使し、オリックスに移籍。現在は、クローザー、セットアッパーとしてブルペンの屋台骨を支えている。日本ハム時代は、プロ2年目の2011年からセットアッパーに定着。翌12年には最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得すると、14年からはクローザーに抜擢され、安定した投球を続けていた。
しかし、2016年はシーズン序盤から不振に陥った増井。見かねた栗山英樹監督がシーズン途中に先発へと配置転換すると、これが功を奏し、先発として9試合に登板(武田勝投手の引退試合時は初回1アウトから登板)し、7勝1敗、防御率1.18を記録。チームのリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。なお、増井は翌17年には再びクローザーに返り咲き、通算100セーブも達成している。