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ペナントレース後半戦、チームの成績を左右する「救援投手」【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、各チームの救援投手についてだ。

2015/07/03

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ベースボールチャンネル編集部



外国人トリオで勝利の方程式をつくるヤクルト

続いてセリーグだ。

広尾様0703表2

 37勝37敗の5割で首位のヤクルト、先発陣は6球団で最低。救援投手が出る前に勝負がつくことも多い。しかし救援投手が上がれば、ほぼ完ぺきに相手打線を抑え込む。バーネット(19S、防御率0.52)、ロマン(12H、防御率2.33)、オンドルセク(14H、防御率2.33)と外国人救援投手トリオが「勝利の方程式」をつくっている。

 阪神は不思議な数字になっている。チーム打率はリーグ5位、先発投手陣も平凡。しかも救援投手陣の防御率は最下位だがセーブは最多だ。
 阪神は36勝36敗の五分。チーム状況は良くない。先発では10QSの藤浪晋太郎、9QSのメッセンジャー、救援では呉昇桓(21S、防御率1.95)、福原忍(20H、防御率1.30)など少数の投手の奮闘でチームを維持してきた。他の投手は数字的に大きく見劣りする。層の薄さが後半戦にどう響いてくるか。

 巨人の先発投手の防御率は12球団一でQS数も2位。菅野智之と高木勇人が11QS、ポレダが8QS。救援陣も澤村拓一(18S、防御率1.82)、マシソン(15H、防御率2.01)と優秀だ。しかし、チーム打率は12球団で最低。援護点が少なくて、勝てるシチュエーションに持ち込めない。ホールド数がリーグ最少であることが、それを物語っている。

 DeNAは、打撃はリーグ上位。先発投手陣は平凡も、救援陣の活躍で前半戦、好成績を上げてきた。山崎康晃(20S、防御率1.93)、田中健二朗(15H、防御率2.08)という若い救援投手がチームを引っ張ってきた。二人はまだ踏ん張ってはいるが、前半戦の勢いはない。1つしかなかった「勝利の方程式」が揺らいだことでDeNAは減速している。ここの立て直しができるかが急務だ。

 広島は、チーム打率がリーグ1位、QS数・HQSは最多。13QSのエース前田健太を筆頭に、11QSの黒田博樹、10QSのジョンソンが加わり、盤石の先発投手陣を誇る。しかし先発がキープしたリードを受け継ぐ救援陣はわずか13セーブ。
 クローザーの中崎翔太(9S、防御率3.79)、セットアッパーの永川勝浩(9H、防御率4.08)とともに不振。後ろに信頼できる投手がいない。
 6月30日の試合では8回零封していた黒田博樹を9回まで引っ張ってサヨナラ負けを喫したが、守護神不在が響いた試合の象徴ともいえる。

 中日は打線、先発投手陣の防御率は上位も、先発投手の勝利数は最下位だ。山井大介、大野雄大、バルデスと10QSの投手が3人もいるが、バルデスは10QSで1勝4敗、山井は3勝4敗、巡り合せが悪い(大野は7勝0敗)。
 救援陣は、福谷浩司(17S、防御率4.30)、又吉克樹(15H、防御率4.08)と昨年の救援陣を引っ張った2人が期待を裏切っている。
 ただ、中日の先発投手陣は数字が証明しているように実力はある。あとは打線とどうかみ合うかがポイントだろう。

 こうして見ると、救援投手の重要さがはっきりわかる。特に後半戦、競り合う展開になったときには、優秀な救援投手を複数でそろえた球団が間違いなく強いだろう。

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