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「審判のジャッジ」に異議を唱えて得することなど何もない【里崎智也の里ズバッ! #06】

今季から野球解説者として各方面で活躍する里崎智也氏が、その経験に裏打ちされた自身の「捕手論」を語る好評連載。第6回のテーマは、時に試合の趨勢を大きく左右することもある球審の判定について。国際舞台での経験も豊富な里崎氏が語る、捕手と球審の“いい距離感”とは!

2015/07/04

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いいキャッチングは「ミットを動かす」ように見える

 一方、キャッチャーのなかには、そうした球審自身の判定のバラつきを逆手にとって、捕球したあとに微妙にミットを動かすという小細工をする選手もいるにはいる。

 だが、そういったことをキャッチャーがするときというのは、往々にして、それがキャッチャー目線から見てもあきらかにボール球とわかっている場合がほとんど。僕から言わせれば、「捕った自分がいちばんよくわかってるだろ?」ということでしかない。

 ちなみに、こんなことを書くと、「お前だって動かしていたじゃないか」という指摘をされるかもしれないので、一応、つけ加えさせてもらえれば、それはキャッチングの仕方次第で「そう見えることがある」というだけのことだ。

 つまり、ボールの反動に負けないように、助走をつける要領でボール1個分、外から内へとミットを動かすという動作が、「ボールを連れてくる」ように見えるということ。

 もしもジャストで捕ろうとすれば、必然的に中から外へと手を突きだすかたちになって、ボールの力と衝突するか、ただ受けるだけになって負けてしまう。それを避けるために、外から中へ動かして、ボールの勢いをうまく殺して力強く捕るのが、いいキャッチングというわけだ。

 ともあれ、審判も僕らも、野球に関しては同じプロ。ただでさえ、やや斜めから撮っているテレビ中継ではアウトコースがストライクに見えやすいだけに、それだけを判断材料として、公平中立の立場で彼らが下すその判定に、目くじらを立てるのも酷というものだ。
 
 もちろん、時として“誤審”は起こりうる。

 だが、球審がする一球、一球の判定は、同じ目線で受ける僕らキャッチャーでさえもが「どっちかな?」と思うレベルのせめぎあいの連続。ひとたび主観が入れば、そこで下された判定は、望むと望まざるとにかかわらず、必ずどちらか一方のチームの不利益になるのである。

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里崎智也(さとざき・ともや)
1976年5月20日生まれ。徳島県鳴門市。鳴門工(現・鳴門渦潮高)、帝京大学を経て、98年のドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズを逆指名(2位)して、入団。03年に78試合ながら打率3割をマークし、レギュラー定着の足がかりをつくる。05年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。06年にはWBC日本代表として世界一にも輝いた。また、大舞台にもめっぽう強く、05年プレーオフのソフトバンク戦で馬原孝浩(現・オリックス)から打った、日本シリーズ進出を決める値千金の決勝タイムリーや、故障明けのぶっつけ本番で臨んだ10年のCSファーストステージ・西武戦での、初戦9回同点タイムリー、長田秀一郎(現・DeNA)から放った2戦目9回同点弾をはじめ、持ち前の勝負強さで数々の名シーンを演出。00年代の千葉ロッテを牽引した〝歌って、踊って、打ちまくる〟エンターテイナーとして、ファンからも熱烈に支持された。

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