ジョンソンの野球人生はいつも“足し算”。フォア・ザ・チームの合理主義者が日本で成功できた理由とは――カープ70年の歴史を支えた外国人選手
カープ戦実況歴20年、長年カープを見てきた中国放送(RCC)アナウンサー・坂上俊次氏の新刊『「育てて勝つ」はカープの流儀』からカープ外国人選手の全力プレーの歴史に迫った第8章「70年の歴史を支えた外国人選手」から一部抜粋で公開です。
2020/04/22
他球団スコアラーが語るジョンソン評
NPBでの5シーズンで57勝、最優秀防御率に沢村賞も獲得した。しかし、ジョンソンの実力は、数字やタイトルよりも、他球団スコアラーの言葉のほうが雄弁である。
「すべての球種のレベルが高いです。ホームベースいっぱいにボールを投げるので、打者としても狙いを絞ることができません。球持ちも良く、腕が遅れてくるのでタイミングが取りづらいのです」
「どの球種でもカウントが稼げ、その日によっていい球を操ることができます。 チェンジアップは抜けが良く、カーブも決まります。さらに、ツーシームです。うちの左打者が完璧に捉えた場面を見たことがありません」
150キロのストレートだけでなく、チェンジアップ、カーブ、カットボール、スライダーを巧みに操る。入団当初は「スライダーやカーブが比較的多くなる」と自己分析していたピッチングスタイルだったが、石原慶幸のリードもあり、チェンジアップやツーシームを効果的に織り交ぜるようになった。
「自信というものは経験の中で生まれる。試合で経験を積むことが自信につながる」。これがジョンソンの持論である。なので、彼の野球人生はいつも〝足し算〞 なのである。〝引き算〞で落ち込むこともなければ、一足飛びに〝掛け算〞を狙うこともない。