一流アスリートに共通する傾向 菊池雄星がグレードアップする3つ目の要素【中島大輔 One~この1球をクローズアップ】
菊池雄星が好調だ。7月5日のロッテ戦では、ストレート・変化球ともに申し分なし。そこにさらに3つ目の要素が加わろうとしている。菊池の進化を予感させる、そんな象徴的な場面を取り上げたい。5回の先頭打者で迎えた根元俊一との対決だ。
2015/07/07
ベースボールチャンネル編集部
ストレートのみならず、変化球の精度も意識
初球からストレート、カーブでともにファウルで追い込むと、外角低めのスライダーが2球続けてボールになる。今度は一転ストレートを内角目掛けて2球続けたが、ファウルで粘られた。すると7球目。スライダーを外角に投じると、根元に手を出させずに打ち取った。
「今日はあそこの場面もそうでしたし、インコースを見せた後のチェンジアップとか、そこら辺もうまくできていたので。ああいう組み立てもしっかり精度よくしていきたいなと思っています」
内角のストレートを頭に刻みつけ、外角の変化球で見逃し三振に仕留める。強気に押すだけでなく、幅のあるピッチングが光った。本人はその手応えをどう感じているだろうか。
「真っすぐとかスライダーに関してはよかったんですけど、まだまだカーブとかチェンジアップとかで楽にストライクを取れる状態ではないので。そこら辺の精度をもう少し上げられればと思っています」
「ふたつの顔」を使い分けるだけでは満足できない。
菊池は何度も「精度よく」と口にしたが、カーブとチェンジアップを思うように制球することができれば、ピッチングが「3つの顔」にグレードアップされる。今季5勝目を飾った直後、菊池はすぐに課題を口にした。
この姿勢は一流アスリートに共通する傾向だ。