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「同一カード6連戦」はキャッチャーを育てる。清水優心らのリードに注目せよ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#124】

2020年プロ野球ペナントレースが遂に開幕した。120試合制、延長10回打ち切り、パ・リーグにおいては同一カード6連戦という日程も組まれる。例年とは違うシーズン、優勝のポイントはどこにあるのか?

2020/06/27

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変則日程ではベンチワーク、特に捕手のリードがカギに

「同一カード6連戦」は始まったばかりなので、まだ各チームの作戦が読めない。僕はCSや日本シリーズのような短期決戦をたたき台にして、捕手のリードに注目している。まぁ、実際には短期決戦ではなく、延々続いていくペナントレースなのだが、他に「同一カード6連戦」を考えるサンプルがないのだ。
 
 CSや日本シリーズのセオリーは「こいつだけは打たせちゃいけない」というキーマンを決め、徹底的に殺しにかかることだ。つまり、ベンチワークだ。データを集め相手を丸裸にし、攻め方を考える。これはチームのスコアラーとコーチ、そしてキャッチャーの合作になるだろう。キャッチャーの負担は大きい。通常、(バッティングがいい選手でも)CSや日本シリーズでキャッチャーはあまり打てない。リードを考えるだけでいっぱいいっぱいだから。
 
 が、(ファイターズがまさにそうだが)現在のプロ野球のトレンドは捕手併用だ。主にピッチャーとの相性を見て、組むキャッチャーを変えている。となると「攻め方の申し送り」というのか、「第1戦でこういう攻め方しときましたよ」「たぶんこういう残像が頭にあるはずですよ」みたいな引き継ぎのようなミーティングが必要になるんじゃないか。「攻め方の合議制」とでも呼ぶべきか。僕はここのところが面白いと思う。
 
 いや、これは3連戦でもフツーに行われてきたはずなのだ。僕は普段、3連戦のカード頭の攻め方に注目している。1試合の第1打席の攻め方は第2、第3、第4打席の攻め方と連動している。例えば内角を意識させて、その伏線を後々使っていく。で、同じことが3連戦にも言えるのだ。カード頭の攻め方は第2戦、第3戦ともつながっている。3試合にストーリーができる。そして、当然、6試合ならもっと長大なストーリーが紡がれるはずだ。
 
 僕は残像の生かし方は清水優心が上手いと思っている。今のキャッチャーは強肩にスポットが当たりがちだが、清水のリード、ピッチャーを生かす感性は素晴らしい特徴だ。本当に含蓄のあるキャッチャーなのだ。何であの球を要求したのかなとそのときわからなくても、後々の試合で、あ、もしかしたらこういうこと考えてたのか!、とハッと思い当たることがある。
 
 だけど、清水ひとりじゃペナントレースはまわせない。キャッチャーは重労働だ。またファイターズは下位打線に課題を抱えていて「7、8、9番打者の強化」は急務であった。宇佐見真吾、ビヤヌエバの獲得はそれを考えてのことだ。打てるキャッチャー、宇佐見の加入はとてもいい刺激材料になった。
 
 今、最初の6連戦の4戦までが終わった時点で、まだ軽々なことは言えない。どういう(ストーリー策定の)ミーティングが行われているのかも情報が出ない。ファイターズ初の「同一カード6連戦」は楽天戦だが、興味深いことに両軍、同じ選手(浅村栄斗と中田翔)に打たれている。「攻め方の申し送り」はあまりうまくいってない気もする。
 
 が、ほとんど確信していることがあるのだ。この「同一カード6連戦」はキャッチャーを育てる。キャッチャーは普段の何倍も考えざるを得ない。野球経験値をびよよーんとアップさせる錬成道場だ。それは清水優心にも宇佐見真吾にも、石川亮にも言えることだろう。というわけで読者にもキャッチャーに注目していただきたいのだ。

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