現役女子選手の新しいチャレンジ。加藤優はなぜDeNAスクールコーチに就任したのか?
今春より横浜DeNAベイスターズベースボールスクールのコーチに、一人の現役女子選手が加わった。昨年まで『埼玉アストライア』に所属していた加藤優さんだ。現在、加藤さんは現役選手としてトレーニングに励む一方で、ここDeNAのスクールで子どもたちに野球の魅力を伝えつつ、女子野球の未来を見据えて活動している。
2020/07/24
写真提供:横浜DeNAベイスターズ
昔にくらべて、野球をする女子は増えている
「こういう仕事は初めてなので、勉強になることは多いですね。小学校1年生から6年生までを教えているのですが、コミュニケーションの取り方や指導法をわたし自身が学んでいる最中です。子どもたちとしっかりと向かい合い、野球の楽しさはもちろん、礼儀作法も学んでもらいたいですね。大人になったとき損をしないように。指導者というのは、人を導く存在ですから」
スクールには女子生徒も多数所属している。加藤にとって嬉しい光景として映っているが、近年では決して珍しいことではないという。
「野球人口が減っていると巷では言われていますが、こと野球をする女の子は、これはデータとしても出ているのですが昔とくらべかなり多くなっているんです。ですから今の男の子たちは、あまり女の子を意識していないように感じますね。わたしのクラスでは女の子が孤立するようなことはありませんし、男子女子同じ目線で指導をしています。わたしが幼いときは、他のチームの男の子に『女がいる』と指をさされたものでしたが……(苦笑)。DeNAのスクールからはそういった空気はまるで感じないので、女の子が当たり前のように野球をやる環境が整っているのかなって。時代が変わりましたよね」
加藤の願いは野球を好きになってもらって、ずっと野球をつづけてもらいたいということだ。そのためには言うまでもなく、将来的な目標が必要になってくる。例えば男子であれば甲子園やプロ野球、果てはメジャーリーグといった描きやすい夢があるが、女子にはまだそういった環境は整備されていない。
「中学校に上がるときに野球を辞めてしまう子が多いのですが、それでも頑張って続けてくれる子はいて、確実にレベルは上がっているんです。中学生でチェンジアップを投げるピッチャーがいたり、わたしの時代とは格段にレベルがちがいます。例えばわたしの父は何年か前に女子中学生の硬式野球チームを作って活動しているのですが、現在30人ほど所属していますし、全国を見れば女子高校生のチームが40ほどあります。わたしとしては、さらにその上を目指す場所を作っていきたいなと考えているんです」