【2014年タイトルホルダー 首位打者編】 阪神の成績を左右させたマートンの打率。内野安打率はわずか7%、イチロー以来の30盗塁で首位打者に輝いた糸井
7日をもって、2014年のペナントシリーズ全日程を終了し、各リーグのタイトルホルダーが確定した。それぞれの個人の成績を振り返ると記録の価値や、チームの状況にどう影響を及ぼしたのかまで見えてくる。
2014/10/08
ゴメスの加入で、本来の打撃を取り戻す
セ・リーグの首位打者はマートン。214本のシーズン最多安打記録保持者で、これまでに最多安打のタイトルを3度獲得しているが、首位打者は初となる。
今シーズン、開幕から5番に座ったマートンは、3・4月を.365と好スタート。打点32をマークし、4番を打つゴメスとともにポイントゲッターとして機能した。
5月.289、6月.286と二月続けて月間打率が2割台に終わったが、これは交流戦での不振によるもので、対パ・リーグは打率.269と打てなかった。
しかし交流戦終了後から息を吹き返し7月は.381、8月も.365をマーク。
一時は逆転を許していた山田哲人や大島洋平を抜き返し、調子を上げてきた雄平や菊地涼介を寄せ付けなかった。交流戦での不調があったものの、対セ・リーグの打率だけ見れば.353で好不調の波なく安定した打撃で高打率を残した。
首位打者獲得の要因の一つには4番から5番への打順の変更があげられるだろう。
4番では場面によっては長打狙いの打撃が求められるが、今シーズンは前を打つゴメスがその役割を担った。そのため長打は減ったものの、併殺打、三振も減らし本来のより確実性の高い打撃が戻った。
昨シーズンと比べると安打数は180で2安打しか増えていないが、四死球が9、犠飛が2増えた分、打数が減り打率を3割3分台にのせたことがタイトル獲得につながった。
四死球が増えたのは、阪神の下位打線が振るわず勝負を避けられるケースが多かったことがあるだろう。
実際、出塁数が12増えたにもかかわらず、得点は3しか増えなかった。また主に6番を打っていた福留孝介(55試合)、今成亮太(28試合)が左打者で、今シーズンも.426と相変わらずのサウスポーに滅法強かったことから勝負を避けられたということもあるだろう。
今シーズンの阪神の勝率はマートンの打率に連動するかのように上下動した。マートンが好調だった3・4月は2位だったが、5、6月は月間最下位。
マートンが打てなかった交流戦は9勝15敗で最下位タイだった。7月から少しずつ率を下げていったのも同じ。
ゴメスが好調だったとはいえ、さらにマートンがつづくことで得点力がアップし打線の厚みが増した。
今シーズンの阪神打線のカギは5番・マートンだったということだろう。