【2014年タイトルホルダー 首位打者編】 阪神の成績を左右させたマートンの打率。内野安打率はわずか7%、イチロー以来の30盗塁で首位打者に輝いた糸井
7日をもって、2014年のペナントシリーズ全日程を終了し、各リーグのタイトルホルダーが確定した。それぞれの個人の成績を振り返ると記録の価値や、チームの状況にどう影響を及ぼしたのかまで見えてくる。
2014/10/08
30盗塁、長打率.524。これが糸井の魅力
シーズン最終盤まで縺れ込んだパ・リーグの首位打者争いは、銀次の猛追を振り切り糸井嘉男が逃げ切った。今シーズンで6年連続と3割の常連だが、こちらも首位打者のタイトルは初だ。
マートンとは逆に、糸井は4番を打っていた李大浩が移籍したこともあって、今シーズンはペーニャが不振だったシーズン中盤を中心に50試合4番を打った。しかし3番.332に対し、4番.330と打率はほぼ同じ。打順によって打撃が変化することはなかった。
開幕から不調らしい不調もなく3割台を危なげなくキープし続け、7月の月間打率は.377と夏場に入っても絶好調。7月末の時点で打率.352と、後続の内川聖一、柳田悠岐らに2分以上の差をつけ首位打者をほぼ手中に収めたかと思われた。
しかし8月に入ると思うようにヒットが出なくなる。
連続無安打試合は最長でも2試合と長期間安打が出ないことはなかったものの、ほぼ1試合おきのペースに。8月は82打数20安打.244、月末の時点で打率は.331まで急下降した。
ソフトバンク勢も1分以上落としたため、糸井の優位は変わらなかったが、8月に入り銀次が猛追してくる。月間打率.352で、.285から.305まで打率を上げてきた。
糸井は9月に入り、2日から5日にかけて16打席ヒットが出なかったがここが不振の底。以後、ヒットが出始めるも、銀次が8月以上のハイペースで安打を量産。
9月21日に銀次.328、糸井.324で逆転を許してしまう。
トップに立った銀次は23日から6試合欠場し様子見に出るが、この間、優勝争いの真っ只中にあった糸井は23打数10安打と調子を上げ再逆転。
9月30日に2毛差つけられトップを譲るも、翌10月2日に.331とし再々逆転し打ち止め。以降、2試合を欠場し逃げ切った。
今シーズンの糸井は31盗塁したが、30盗塁以上の首位打者はパ・リーグでは97年のイチロー以来7人目9度目となる。俊足ながらツボにはまれば長打もあるのが糸井の魅力。
安打に占める内野安打の割合は6.6%で規定打席に達した中では4番目に低く、一方で263塁打はリーグトップ、長打率.524はメヒア、中村剛也に次いで3位。
左打ちの俊足タイプながら、逆方向への当て逃げやセーフティーバントでヒットを稼ぐことなく、堂々の安打を量産しての初タイトルと獲得となった。