【データで選出6・7月月間MVP】出塁率5割超えの柳田がダントツ。投手ではオリックス・山本が最高評価
2020/08/10
DELTA、Getty Images
柳田の打撃は三冠タイトルでは測りきれない
評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
まず野手からみていく。セ・リーグは青木宣親(ヤクルト)、パ・リーグは柳田悠岐(ソフトバンク)がそれぞれ20.4点、30.0点と最高の貢献を果たした。柳田はリーグの平均的な打者に比べ、24.2点多くの得点を生み出した。出塁率が5割を超えたほか、長打率も.742と傑出。打率・本塁打・打点といった旧来の評価では測りきれないかたちでチームの得点を大きく増加させた。
アベレージヒッターの青木は、この1ヶ月半に関しては長打力で違いをつくった。ヒット36本のうち、18本の半分が長打。二塁打を11本、三塁打を1本、本塁打は6本放った。これにより、岡本和真(巨人)、鈴木誠也(広島)らリーグを代表するスラッガーと遜色ない長打率.626を記録している。
外崎は長打力を発揮できないものの守備面で大きな貢献
守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
守備では外崎修汰(西武)が9.8点で12球団最高の貢献を記録した。広い守備範囲で多くの打球を処理したことがUZRで高く評価されている。まだゴールデン・グラブの受賞経験はないが、昨季から二塁手としては最高レベルの守備力を見せ続けている。昨季26本塁打を放った持ち前の長打力は1本塁打と鳴りを潜め、打撃貢献は1.3点にとどまったが、高い守備力が評価されてパ・リーグ野手4位にランクインした。