21歳の掛布が大ブレイク セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~1976年編~
2020/08/11
Getty Images, DELTA・道作
本企画はNPB過去年度の打撃ベスト10を眺め、往事の野球を今の視点から振り返り楽しんでもらおうというものだ。ただベスト10は従来の打率ではなく、セイバーメトリクスにおける総合打撃指標wRAA(※1)を採用する。これはリーグ平均レベルの打者が同じ打席をこなした場合に比べ、その打者がどれだけチームの得点を増やしたかを推定する指標だ。この視点で振り返ることで、実は過小評価されていた打者がわかるということもあるかもしれない。
この年からフジテレビにて、プロ野球ニュースの放映が開始。札幌在住だった私にとって普段は見られない選手が日常のものになった。新たに見る映像は革命的だった。オールスターや日本シリーズでなければ見られなかった選手どころか、たまに日曜昼に入るNHKの野球中継でしか見ることができなかった選手を数多く見ることができた。例えば土井正博(太平洋)についてはこの時点で名前を知って10年ほどになっていたが、日本シリーズ出場はなく、オールスター以外での勝負のかかった打撃を目にしたのはほぼ初めてであった。
当時のオールスターは3試合あり、「MLBに比べて多い」「最後の方はダレてないか」の声も当時からあったが、無理なく全選手を見せてもらうにはあの程度は必要だったのかなとも思う。昭和40年代(1965-74年)はオールスターが終われば、張本勲(日本ハム)や土井、鈴木啓示(近鉄)あたりは翌年まで見られないかもしれない状況だったのだ。それを覆したのがあの番組ということになる。