21歳の掛布が大ブレイク セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~1976年編~
2020/08/11
Getty Images, DELTA・道作
1976年のパ・リーグ
チーム 試合 勝率 得点 失点 得失点 前期/後期
阪急 130 .637 546 477 69 1/1
南海 130 .559 489 431 58 2/2
ロッテ 130 .529 476 441 35 3/3
近鉄 130 .463 457 436 21 5/4
日本ハム 130 .437 484 523 -39 4/5
太平洋 130 .367 450 594 -144 6/6
加藤秀司(阪急)が前年に続いてwRAA36.6で1位。この頃の加藤は完全にパ・リーグ最強の打者となっていた。前年とは逆に出塁率が1位(.383)で長打率が2位(.556)。毎年、得点創出に重要な出塁・長打のいずれにも強みを発揮している。このあとも万能型の活躍を続け、全盛期阪急の中心となった。2位の門田博光(南海)もこの頃までは加藤と同じようにオールラウンダーであったが、この後はより本塁打が増え、長打に特化したかたちへと軸足を移して行く。この年はリーグ最多の二塁打25本を放つなど、アキレス腱を断裂し走ることがままならなくなる1979年以降とは印象の違う打撃を見せている。
3位のクラレンス・ジョーンズ(近鉄)は長打に偏った強打を披露。この年もまた.244の低打率ながらベスト3入りを果たした。ジョーンズは36本塁打を放ち本塁打王となったが、投手優位の時代とあって2位以下は低迷。本塁打2位の加藤とは8本の大差がついた。ジョーンズは.568で長打率も1位となっている。また低打率ではあったものの、四球を多く獲得したため低打率にもかかわらずリーグ4位の.360と意外な高出塁率をマークしている。
ほかには福本豊(阪急)がwRAAで4位になり、ここまでの自己最高を記録。ほかに山崎裕之(ロッテ)、首位打者を獲得した吉岡悟(太平洋)など、それほど本塁打が多いわけではない出塁系の打者が同時にランクイン。ボールが飛びにくい投手優位の時代であったこの時期らしい出来事である。
ベスト10圏外で注目の選手は南海の藤原満。職人芸のように安打を重ねた選手である。このシーズンは159本で最多安打を記録しているが、これは2位の選手に18本差の大差をつけてのダントツであった。