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セ1位は谷沢健一。吉村禎章も台頭 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~1984年編~

2020/09/04

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Getty Images, DELTA・道作



1984年のパ・リーグ

チーム  試合 勝率 得点 失点 得失点
阪急   130 .625 671 510  161
ロッテ  130 .557 632 602  30
西武   130 .504 593 565  28
近鉄   130 .487 609 647  -38
南海   130 .449 633 697  -64
日本ハム 130 .376 571 688  -117
 

 
 来日2年目のブーマー・ウェルズ(阪急)が三冠王を獲得。wRAAのランキングでも1位となった。打率・本塁打・打点の打撃三冠については四球の多寡がほとんど影響しない。そのため現役を通してかなり早打ちの打者であったブーマーが不利になることもなかった。打率、長打率といったバットに当たったときの結果が極めて優秀だったためにwRAAが積みあがったかたちである。ブーマーは打撃三冠と.641で最高長打率を獲得したが、出塁率は.426で3位どまり。こちらまで独占とはならなかった。

 2位は落合博満(ロッテ)。当時こだわったコメントがよく報道されていた打撃タイトルは取れなかったが、各指標は優秀であり、98四球は130試合制のパ・リーグでここまでの最多記録である。3位スティーブ(西武)も各指標で優秀な数値をたたき出した。ブーマー、落合を抑えて獲得した2年連続の最高出塁率.443は光る。
 
 この年からは比較的飛ぶボールが使われはじめたようで、リーグの総本塁打数が1000本に近付いた。また、本塁打が多い打者はwRAAも高いといったふうに、連動性がかなり高い年で、27本塁打のジェリー・ホワイト(西武)を唯一の例外として本塁打上位12人(規定未到達の藤田浩雅を除く)のうち11人がwRAAの1~11位に入っている。飛ぶボールが使用されたシーズンはこのように「安打の延長が本塁打」になって、確実性と長打力が連動する傾向がある。こうなると、長打力がほとんどなく、打率だけに特化したようなスペシャリストが活躍することは難しくなってくる。こうした傾向はこの翌年からさらに強くなった。
 
 チームで見ると、この年は阪急の各選手が真価を発揮し、得点においても失点においても他チームを圧倒した。1982-83年と連覇し王国を築くかと思われた西武はこの年は3位。前年に読売を倒して日本シリーズを2連覇したことにより達成感が出たか、ベテラン勢の成績が壊滅状態に陥った。
 
 ベスト10圏外で注目したいのは高沢秀昭(ロッテ)。.317の高打率を残して12位に入ったが相当な早打ちだったようで四球はシーズンを通して9つ。しかもそのうち1つが敬遠だった。つまり自身の力で選んだ四球は8つである。高沢は死球が9つであったため、規定に達しながら選んだ四球より死球の方が多いという珍しい記録となった。

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