「声でファンのパワーを選手に伝えたい」ハマスタを盛り上げる2人のスタジアムDJ
横浜スタジアムには現在ふたりのDJがいる。球場演出をはじめ、ファンへ向けたエンターテインメントを発信しつづける横浜DeNAベイスターズにとってなくてはならない存在だ。そしてコロナ禍において、チームとファンをつなぐ役割も担っている。
2020/09/12
(C)YDB
横浜スタジアムを盛り上げるMC TEDDYさん(右)と、DJ KENNYさん【(C)YDB】
トップクラスのエンタメを作り上げる球団。やりがいを感じる
横浜スタジアムに響き渡る明朗で熱のこもった“声”は、いわばチームとファンをつなぐ“架け橋”である。
コロナ禍により1試合5000人の集客しかできない状況にあるプロ野球観戦。感染拡大予防のため大きな声で応援をすることも禁止されているわけだが、その渦中にあってファンの代弁者となり試合を盛り上げているのが、スタジアムDJの存在だ。
DeNAベイスターズには現在、ふたりのスタジアムDJがいる。スターティングラインナップのコールなど英語によるナレーションを担当するDJ KENNY(ディージェイ・ケニー)と、イニング間のイベントやヒーローインタビューなどを担当するMC TEDDY(エムシー・テディ)だ。
TEDDYさんは昨シーズンから、KENNYさんは今シーズンからスタジアムDJを務めており、ファンへ向けたエンターテインメントを重視する横浜DeNAベイスターズを裏から支える重要な人物である。
「本当、DeNAはエンターテインメントのど真ん中を行く存在だと思います」
こう語るのはTEDDYさんだ。
「僕はこれまでバスケットボールやフットサルなど室内競技のMCを多くしてきたのですが、このチームに携わるようになって感じるのは、プロ野球界どころかスポーツ界でもトップクラスのエンタメを作り上げているということです。特にスタジアムでの演出やイベントには力を入れていて、ファンの方々のために楽しんでいただこうという姿勢が強く感じられます。ですから我々も非常にやりがいを感じているんです」
さらにKENNYさんがつづける。
「日本のスタジアムにあって、英語のDJでフルナレーションするのも画期的だと思いますし、何をするにしても最新のトレンドをピックアップするなど、先進的な非常に面白い球団だと思いました」
『コミュニティボールパーク』化構想も含め、スタジアムの演出では定評のあるDeNAだが、果たして彼らにとってこのスタジアムDJという仕事の面白さとは何だろうか。
「日々、変化があることですよね。イベントもしかり、試合という特性もあって、同じことは二度とありません。ですから常に臨機応変に取り組むことが求められますし、コンディションを整えることも含め、状況の把握には力を入れています」(TEDDYさん)
「テレビでしか見たことのなかったスーパースターの名前を呼ばせていただいているのは非常に光栄ですし、とてもうれしいことです。あとスタジアムに来たお客さんから僕の声に反響をいただいたときには感動しました。いかに選手の方々に気分よくプレーしてもらえるのか、またファンの方々に聞き心地いいコールができるのか日夜考えていますね」(KENNYさん)
言うまでもなく今季はイレギュラーなシーズンだ。コロナ禍により開幕が3ヵ月遅れ、さらには無観客による試合開催。それでもスタジアムDJの声はハマスタに響き渡り、映像を通してファンの元へ届いていた。そして7月17日の巨人戦でようやく客入れが始まり、わずかではあるがハマスタに熱気が戻った。
「無観客の状態からお客さんが入り、そのときいただいた拍手がどれほどうれしかったことか」
TEDDYさんは、あの日の感動を振り返る。
「KENNYさんも同じ意見だと思いますけど、本当にお客さんからの反応はありがたかったですね。選手の方々ばかりか、ファンの方々にも温かく迎え入れてもらえて感慨深いものがありました。僕は昨年、満員のスタジアムを経験しているのですが、あの雰囲気は忘れられないものですし、1日も早く今よりも多くの方がハマスタに集まれる日が来ることを願ってやみません」
まだ満員のハマスタを経験したことのないKENNYさんはその日が来ることを心待ちにしている。
「きっと鳥肌が立つでしょうし、素晴らしい体験になると思います。ただ、現在の5000人の観客の方々の反応であっても、素晴らしさを満喫しているんです。僕はこれまでラグビーなど他競技でスタジアムDJをやらせていただいてきたのですが、あくまでも影の存在でした。しかし、ハマスタでは僭越ながら試合前に自己紹介をさせてもらっています。そこで拍手をもらえると本当にうれしいですし、TEDDYさんもそうだと思うのですが、存在を認めていただけることに非常に喜びがありますし、やりがいも感じられるんです」