後半戦、パはソフトバンクの優位変わらず。混セを制するのは巨人か広島か【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、勝負の夏に突入する後半戦についてだ。
2015/07/21
混セを抜け出すのは巨人か広島か
③稼働率
今後のペナントレースは短期決戦に近いため、現時点で故障者が多い球団は、脱落する可能性が高い。ここでは、球団ごとの故障者の比率を出して実際の稼働率を出す。現在の打撃、投手成績から、故障者の数字を差し引いて稼働率を出す。打者は塁打数、投手は投球回数で割り出した。
パリーグは、ソフトバンクは投打の主力の長谷川勇也、大隣憲司、バリオスが故障しているのが痛い。特に投手陣の稼働率が低い。日本ハムは故障はハーミッダひとり。西武は主力の故障はない。ロッテは今江敏晃の死球によるリタイアが痛い。楽天、オリックスは主力選手が多数戦線離脱のため、戦力的には苦しい。
セリーグは、巨人は金城龍彦、片岡治大の故障が大きい。DeNAは石川雄洋と荒波翔の離脱(石川は20日に1軍復帰もベンチスタート)は守備面でのマイナスも大きい。阪神、ヤクルトは投打ともに戦力がややダウン。広島は戦線離脱は軽微。中日は投手陣の稼働率が非常に悪い。
もちろん故障者はいずれ復帰してくるだろうが、現状の稼働率は抑えておくべきだ。
◆最終判断
3つの指標を総合すると、各球団の今後の趨勢が見えてくる。
【パリーグ】
ソフトバンクは実力は抜群だが、投打ともに下降気味であり、故障者もやや多い。
日本ハム、西武はソフトバンクに次ぐ実力だが、投打ともに下降気味。しかし故障者は少ない。
ロッテは実力は下位だが投手は上昇傾向にある。故障者はやや多い。
楽天、オリックスは実力は下位だが、打線は上昇傾向にある。だが、ともに故障者が非常に多い。
総合すれば、ソフトバンクと他球団のゲーム差はやや縮まるだろうが、下位球団の追い足は力弱く、この形成のままいくのではないかと予測される。
【セリーグ】
巨人は実力中位。打線は上向き、投手力は下向き。しかし故障者は少ない。
DeNAは実力下位。打線は下向き、投手力はやや上向き。故障者はやや多い。
阪神は実力でいえば最下位でもおかしくない。投手力は上向き。故障者はやや多い。
ヤクルトは実力中位。投打ともに横ばい。故障者はやや多い。
広島は実力ではリーグ一だが、投打ともに下降傾向。しかし故障者は少ない。
中日は実力下位、投打ともに下降傾向、故障者もやや多い。
総合すれば、混戦は続くが、巨人に対して実力随一の広島が迫るのではないかと思われる。ともに故障者が少ないのが強みだ。これに続いてヤクルト、そしてDeNAが追いかけるか。阪神、中日はやや厳しいかもしれない。
どの要素を重要視するかで評価は変わってくる。一つの見方として参考にしていただければ幸いだ。