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【データで選出8月月間MVP】ソフトバンク・笠谷が投手トップの貢献を記録。阪神・近本は守備でセ・リーグトップに

2020/09/08

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DELTA、Getty Images



奪三振とゴロ率の高さで1位となった笠谷

 投手の評価も質と量両面でどれだけ貢献したかから求める。質は「奪三振」、「与四死球」、「被本塁打」、「ゴロかフライかライナーかといった打たれた打球の種別」、量は「投球回」によって決まり、そこから平均的な投手と比較しどれだけ多くの失点を防いだかを算出する。
 

 
 セ・リーグは菅野智之(巨人)、パ・リーグは笠谷俊介(ソフトバンク)がそれぞれ5.9点、6.1点と最高の貢献を記録した。
 
 笠谷がパ・リーグ1位という結果に驚いた人も多いのではないだろうか。今季一軍に定着した笠谷は8月にわずか17イニングしか投げていない。量の部分での貢献はそれほど大きくなかった。それでも最高評価になったのは短いイニングながら高い質の投球を見せたからだ。5試合中4試合で先発しながら、平均が20%前後となるK%(奪三振/打者)は36.9%を記録。これはベスト5に入った中では、益田直也(ロッテ)やフランク・ハーマン(ロッテ)といった、救援専任の投手を上回る数字だ。
 
 また、笠谷の良かった点は奪三振力だけではない。打球が発生したときゴロになる割合を表すゴロ率はリーグ平均が45%程度である。そんな中笠谷のゴロ率は67.6%。発生した打球のうち約3分の2をゴロにした。ゴロは長打になりにくいため、得点につながりにくい。8月の笠谷は、奪三振の多さによりそもそも打球を発生させることが少なく、さらに打球が発生した場合もリスクの小さいゴロになるという理想的な投球だった。ゴロ率ではほかに、ドリュー・バーヘイゲン(日本ハム)、高橋遥人(阪神)も72.0%、66.0%と高い値を記録した。
 
 一方で、四球の数を少なく抑えることでリーグ最高の貢献を果たしたのが菅野だ。菅野のK%は19.3%。両リーグのベスト5の中で唯一の10%台だ。リーグ平均が20%前後であることを考えればそれほど優れた数字ではない。しかし、30イニングを投げて出した四球はわずかに3つ。無駄な走者を出さずに多くのイニングを投げることで、リーグ1位の貢献を果たした。

 
DELTA@Deltagraphshttp://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。
 
 
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