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渡邊諒の成長を証明した一打。単に『直球破壊王子、澤村の156キロを粉砕』の話にあらず【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#131】

クロ―ザー不在も響き、苦しい戦いが続くファイターズ。チームのCS進出は極めて厳しい状況だが、選手個々人の活躍は来季以降に繋がる。ロッテ20回戦での澤村拓一と渡邉諒の対決は特に見応えあった。

2020/10/03

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本来はファイターズこそが僅少差をモノにする芸風

 9月から10月へと月をまたいだ形で行われたロッテ3連戦(19・20・21回戦)である。本拠地札幌ドームは入場制限が緩和されたというのに閑散としていた。まぁ、もちろん新型コロナを警戒するマインドがファンにあって当然だが、もうひとつの大きな理由はファイターズの戦績がさっぱりだからだと思う。
 
 いや、ぜんぜん借金が減らないのだ。ソフトバンク、ロッテの2強から完全に置いていかれた5位(10月1日、ロッテ3連戦を終えた時点)である。今シーズンはトップ2しかCS出場権が与えられないことを考えると、ここからひっくり返すのは絶望的だろう。本当なら9月末から10月頭のロッテ&ソフトバンク連戦は乾坤一擲(けんこんいってき)の大勝負だった。ここで大型連勝できればワンチャンスあるんじゃないかとファンは胸算用していたのだ。そううまくはいかなかった。ロッテ戦を1勝2敗と負け越したことで(しかも●●〇と、先に連敗したことで)、明らかにファンのテンションは下がった。この後はAクラス確保を目標とするのが現実的ではないか。
 
 もちろん僕は「バカ」がつく野球好きなのでこの先のファイターズがつまらないなんて思わない。中田翔の2冠もぜひ見たいし、選手登録をもらった樋口龍之介も楽しみだし、個々の選手のドラマにフォーカスしていきたい。それにソフトバンク、ロッテの2強の優勝の行方にうちがどうからむのか興味津々だ。ソフトバンクには長年、CSで争ってきたライバル心がある。ロッテには「パシフィックの無二の親友」という感じのシンパシー(僕はかつてロッテを「(怒られるとき)一緒に職員室につき合ってくれる友達」と喩えたことがある。東京ドーム-川崎球場からの仲だ。まぁフェアプレー第一でどっちに味方するなんてことはないけど、結果的にどういう役回りをするのか(あるいは両方から均等に負けて役割は特にないのか)見ていきたいと思う。
 
 ロッテ3連戦を端的に言うと「1つ勝つのがやっと」だった。スコア的には3対4、1対2、3対2とすべて1点差ゲームなのだが、負けゲームはしっかり寄り切られ、勝ちゲームは徳俵に足がかかったところまで押され、何とかうっちゃった感じだ。勝負事は点差ではない。ロッテは1点差でも強い勝ち方、強い負け方をした。「逆転のロッテ」の異名があるけれど、今年のロッテは(負けるときは大負けしても)接戦を競り勝ってきた。競り勝つのは力のあるチームだ。本来はファイターズこそが僅少差をモノにする芸風なのだが、それが今は「クローザー不在」で、ゲームプランの実行がおぼつかない。

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