谷繁元信は、あと2試合でNPB記録を樹立 野球人生を賭けたベテラン打者たちの静かなる戦い【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、選手が積み重ねてきた通算成績についてだ。
2015/07/24
中日・谷繁が通算出場記録更新に迫る
プロ野球で実績を積んだ元選手に話を伺うと、自分の生涯成績や、通算の率などの数字は即座に出てくることが多い。そして「誰よりも上、NPBで何位」のような評価も口にする。
一流の選手は、自らの生涯記録(キャリア・レコード)にこだわり、これを励みに実績を積み上げているのだ。
今季も中盤を過ぎた。これから偉大な記録の達成が予測されている。今回は打者の記録に絞って、いろいろなキャリア・レコードの現状について紹介したい。
数字はすべて昨日時点のものである。
1.通算出場記録
通算出場記録を歴代10傑でまとめた。1試合当たりの安打数もつけている。
間もなく偉大な記録が書き換えられる。中日のプレイングマネージャー谷繁元信は、野村克也が保持していたNPBの通算出場記録をあと2試合で破るのだ。35年ぶりの記録更新となる。
試合に出ているだけで数字が積み上がる記録は、安打や本塁打などに比べれば価値が低いと思うかもしれないが、厳しい競争社会であるNPBで起用され続けることは、その選手の「価値」が高いことを意味している。
谷繁はこのランキングに載っている選手の中では1試合当たりの安打数は極端に低い。2000安打を達成しているとはいえ、打者としては見劣りがする。しかしそれでも起用され続けたのだ。守備の要の捕手として、谷繁は20年以上チームに不可欠な存在であり続けた。谷繁の通算出場記録は、チームの絶対的な「信頼感」を反映したものと言えるだろう。
2.通算本塁打数
現役で通算本塁打ランキング50傑に入っている選手をまとめた。
現役選手は8人いる。今季、パの本塁打王争いをリードしている中村剛也はあと1本で300本塁打を達成する。過去に45人の打者がクリアしており、現役でも6人が記録。それほど珍しい記録ではない。しかし中村はそのペースが半端ではないのだ。1試合当たりの本塁打数は0.258、現役では断トツ。4試合に1本強の本塁打を打っていることになる。これは歴代の記録と比べても非常に高い。
300本塁打以上の選手の1試合当たりの本塁打数ランキングだ。
中村の記録は歴代6位に相当する。NPBの球場は1988年の東京ドームの開場を皮切りとして両翼が10mも大きくなった。王貞治、田淵幸一などそれ以前の打者には90m代の本塁打もあったが、以後は100mの飛距離がないとスタンドインしなくなった。球場大型化以降の記録としては、中村は日本人では2位に当たる。松井秀喜に匹敵する長距離打者なのだ。今季は故障もなく順調に本塁打を量産している。300本塁打は秒読みだが、今後どれだけ本塁打数を伸ばすか注目だ。