7月防御率12点台 ライオンズ・高橋朋己、無敗だった守護神に何が起きたのか【中島大輔 One~この1回をクローズアップ】
6月末まで防御率0点台、ライオンズの勝利に貢献してきた守護神の高橋朋己が7月に入り、苦しんでいる。7月25日の日本ハム戦ではセーブがつく9回に登板して、1回3失点で逆転負け。26日はリードを許す展開で志願登板するも1失点。無敗の守護神に何が起きているのだろうか。今回は、7月25日の北海道日本ハムファイターズ戦、9回表の1回をクローズアップする。
2015/07/28
ベースボールチャンネル編集部
指揮官「真っ直ぐに本来のキレがない」
西武鉄道100周年を記念するライオンズイエローが西武プリンスドームを染めた7月25日、スタンドを埋めた3万996人の大部分を占めるファンは、最も見たくない光景を目撃した。
4対3で迎えた9回表、クローザーの高橋朋己がリードを守り切れず、最悪な形での逆転負け。オールスター休みをはさみ、チームの連敗は5に伸びた。
6月29日まで防御率0点台と安定感抜群の投球を続けていた高橋は、7月に入って苦しいピッチングが続いている。今季初黒星を喫した7月6日のソフトバンク戦から25日までに6試合に登板し、計5回2/3を投げて自責点8。防御率は3.03まで膨れ上がった。
いったい、無敗だった守護神に何が起きているのか――。
打者7人に3本のヒットを打たれて逆転負けを喫した7月25日の日本ハム戦後、チームメイトがクラブハウスに重い足取りで引き上げるなか、高橋はロッカールームからなかなか出ることができなかった。うなだれたまましばらくの時間が経ち、赤く腫れた目でようやく姿を現す。待ち受ける数名の報道陣を前に、ポツリとこぼした。
「真っすぐが通用しないことを考えないといけない」
1点リードで迎えた9回表、高橋は武器とするストレートを痛打された。代打の石川慎吾に打たれたセンターオーバーの同点タイムリー2塁打は145km、続くレアードに浴びたレフトフェンス直撃の勝ち越し2塁打は143kmで、ともに内角の悪いコースではなかった。
それが勝負どころで、いとも簡単に弾き返されてしまったのだ。
試合後、表情を曇らせた田邊徳雄監督は、高橋の状態についてこう評した。
「キレがないかな。スピードは出ているけど、本来のキレがない」
高橋のストレートの平均球速は140km台中盤だ。特別に速いわけではないものの、出どころの見づらいフォームからキレのあるボールを投げ込み、打者を封じ込めてきた。だが、7月に入ってことごとく打たれ始めているのだ。