4年前のV逸を教訓に 混セの主役に!好調ヤクルトの四番・畠山の『献身』【野球コラム 新・燕軍戦記#9】
東京ヤクルトスワローズが『セ界』の主役に躍り出ようとしている。前半戦最終戦から怒涛の7連勝で、一時は単独首位に進出。その快進撃を支えた好調打線の四番バッターが、プロ15年目の畠山和洋である。
2015/07/29
復帰後は6試合連続打点、66打点はリーグトップ
「強引にいかず、繋ごうという意識でいきました。山田がよく走ってくれました」
ヤクルトが8対7で勝って連勝を「7」に伸ばした7月26日の中日戦(神宮)。3回裏、一塁に山田哲人を置いて適時二塁打を放った四番の畠山(32歳)は、そう話した。
この試合で先制の23号3ランを放つなど、中日との3連戦で打率.538、3本塁打、7打点と打ちまくった山田や、同じく3連戦で打率.583、2本塁打の川端慎吾ほどの派手さはないが、畠山も後半戦スタートと同時に戦列に復帰して以来、これで6試合連続打点。山田はホームランダービーの先頭を走り、川端も首位打者争いをリードしているが、畠山の66打点も堂々のリーグトップである。
もっとも、前半戦終了間際に左内転筋に軽度の肉離れを起こした脚の状態はまだ万全ではなく、ファームの試合で調整することもないまま復帰したため、打撃も本調子ではない。
それでも「ランナーを返すのが仕事だし、そこに集中してます。調子が良くないからこそ、1日1回でも最高に集中力を高められる打席を作れるようにして……早く状態を上げられればいいんですけど、それがダメでも最低限の仕事ができるように集中することが大事だと思います」と言うように、走者を置いた場面ではより高い集中力で打席に臨んでいる。
フォア・ザ・チーム──。打撃のみならず、今の畠山のプレースタイルにはその言葉がふさわしい。現役時代はともにヤクルトでプレーし、北海度日本ハムへの移籍を経て、昨年からコーチとして古巣に復帰した三木肇作戦兼内野守備走塁コーチは、その献身ぶりをこう評す。
「プレー1つひとつに根拠とか内容がある選手で、ここで打点を稼ぐためには最低限こういうことをしなきゃとか、守備でもこういうミスをしないようにここにポジショニングをしようとか考える選手。ベンチにいてもよく目が合うし、連係も取っている。マウンドの投手に声を掛けに行ったりとか、見えないところでの意識もすごく高いですよ。年齢も上のほうになってきて、責任感も出てきてると思うんですけど、よく頑張ってくれてます。僕も立場が変わって久々に一緒に野球をやってるけど、若い時とは全然イメージも違うし、すごく頼りにしてます」