わかりにくい投手起用は低迷要因の一つ? 新しいスタイルを模索し続ける栗山野球の難しさ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#133】
残り試合もわずかとなった。特別なシーズンとなった今季、振り返ればファイターズ投手陣は誤算続きだった。原因はさまざまだが、その一つとして起用法も挙げられるのではないだろうか。
2020/11/01
いまだ見えないショートスターターのフォーマット
秋深まり、札幌・大通公園の木々もすっかり色づいている。今年はコロナ禍の特別なシーズンであるため、ハロウィンの時期に本拠地最終節が組まれた。ファイターズは10月29日パ・リーグ全試合終了時点で、5位(4位楽天に2.5差)に甘んじている。2位ロッテがクラスター発生で急降下するなか、CS出場権争いが俄然注目を集めているけれど、ファイターズは蚊帳の外である。残り試合をにらむと、西武3連戦に勝ってロッテに助太刀できたら御の字だろう。スポーツニュースを見ても、チームの存在感がすっかり希薄になってしまった。
そんな本拠地最終節、僕はわざわざ札幌へオリックス戦を見に来た。5位6位対決。ホントに自分はファイターズが好きだなぁと思う。中田翔の2冠達成を応援したい。骨折明けでようやく戦列復帰が叶ったジェームス野村を応援したい。引退の浦野と別れを惜しみたい。いや、書いていけばキリがない。あれもこれも。どれもこれも。まぁ、簡単にいえば、まだまだ野球を見ていたいのだ。今年はコロナ禍で試合観戦が圧倒的に足りない。あぁ、秋田遠征とかめっちゃ行きたかったなぁ。
というわけで新千歳空港ロビーでこの原稿を書いている。30日(金)の試合前だ。今夜の先発はニック・マルティネス。今季は球が高めに行き、安定した勝ち星を挙げられなかった。ファイターズは「守護神不在」で宮西が代役を務めなきゃならなかった点も含めて、今季は投手陣が不安定だった。本来は投手力がストロングポイントのチームだと思うのだが、思うに任せない。マルティネスの低迷もその一環だったといえるだろう。
その投手陣不調の原因は一つではないと思う。ローテの柱に上沢、マルティネスと故障明けが2枚いたし、中継ぎ・抑えのところは石川直、公文の離脱が効いた。勤続疲労なのか秋吉、玉井がシーズン後半、打ち込まれた。首脳陣もやりくりに苦慮しただろうが、見てる我々も毎試合、大いに苦慮した。一つ勝つのが本当に大変なのだ。リードして終盤を迎えても何があるかわからない。
で、これは「数多くある原因の一つ」という風に受け取ってもらいたいが、投手の起用法は見直したりできないものなんだろうか。いちばんわかりやすい例がショートスターターだ。僕はファイターズの試合を欠かさず見ているが、まだショートスターターのフォーマットがわからない。こんなに毎日見ていても「え、ここで下げちゃうの?」「ここは続投なの?」という現象が起きる。これは僕の察しが悪いだけなのだろうか。
ファイターズは投手起用がわかりにくいのだ。「3回で下げる投手」と「5回で下げる投手」の基準は何だ? 「第2先発のロングリリーフ」がなぜ終盤「火消しのセットアッパー」でも出てきて、場合によっちゃ「敗戦処理」でも出てくる? 本人に起用の意図は伝わってるのだろうか? 僕には「言われたところで投げてるだけ」に見える投手がいる。納得してるのだろうか?
栗山ファイターズは常に新しい野球スタイルを模索している。その先進性はファンの誇りでもある。栗山ファイターズだから「大谷の二刀流」が出てきたのだ。
だけど、新しすぎてわからないときがある。僕は(選手はもちろんのこと!)ファンも起用意図がわかってたほうがいいと思う。だって、わかったほうが一丸となって応援できる。苦しい場面で「ここはそういう作戦だから」と耐えることもできる。その都度その都度、「言われたところで投げてる」「出た選手を応援する」ばかりやってると気持ちが摩滅してしまう。人は機械じゃないからだ。とりあえず金子弌大は、もっと張り合いのあるところで使ったほうが生きるんじゃないかなぁと思ってしまう。
と書いてたら開始時刻が近づいてきた。ちょっと行ってきます。