わかりにくい投手起用は低迷要因の一つ? 新しいスタイルを模索し続ける栗山野球の難しさ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#133】
残り試合もわずかとなった。特別なシーズンとなった今季、振り返ればファイターズ投手陣は誤算続きだった。原因はさまざまだが、その一つとして起用法も挙げられるのではないだろうか。
2020/11/01
与えられた仕事を全うする宮西はプロのお手本ではある
ここからは試合後に書いている。2対3の惜敗。オリックス先発の山岡が良かったとも言えるが、決勝点がまたもエラーがらみ(清宮に場内、ため息がもれた)だったのが大変悔しい。ファイターズ先発のマルティネスは再三ランナーを出しながら、粘りのピッチングだった。今日は捕手が鶴岡だったこともよかったんじゃないか。一昨年、成績を残したシーズン、「マルティネス専用捕手」は鶴岡だった。
しかし、負け試合にも素晴らしい見せ場があった。宮西尚生13年連続50試合登板の記録達成だ。今年は120試合制になって、さすがにちょっときびしいかなぁと予想していた。何の何の、試合数残して、余裕の達成だった。僕は(指定C席から)スタンディングオベーションで、宮西を称えた。
僕は本稿前半に書いた「栗山ファイターズはもっと起用の基準、意図を伝えたほうがいい」という意見を変えるつもりはない。そのほうがこちらも身が入る。頭の上に「?」を浮かべたまま応援するのはあんまり楽しくない。
だけど、宮西尚生を見て、ぜんぜん別のことも考えた。宮西こそ「言われたところで投げる」のザ・プロフェッショナルだ。配置転換で今季はクローザーを任されることになったが、淡々とこなしている。どこであっても自分の仕事をするだけ。何てカッコいいんだろう。
ファイターズ投手陣には「宮西イズム」というのか、プロのお手本としての宮西の姿が息づいていると思う。あの姿を見て、何も感じない投手は投手じゃない。つまり「言われたところで投げる」を続けて、気持ちが摩滅しない男もいるってことだ。それがファイターズ投手陣の美学なのかもしれない。
難しいところだなぁ。まぁ、少なくともこれだけは書き残しておこう。僕はファイターズ投手陣に納得して投げてほしいのだ。ファイターズファンに納得して応援してほしい。