松井秀喜が全盛期に突入 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~2000年編~
2020/11/05
Getty Images, DELTA・道作
2000年のパ・リーグ
チーム 試合 勝率 得点 失点 得失点
ダイエー 135 .549 630 584 46
西武 135 .531 614 572 42
日本ハム 135 .515 771 664 107
オリックス 135 .489 638 672 -34
ロッテ 135 .481 622 708 -86
大阪近鉄 135 .436 612 687 -75
前年に規定打席未到達ながら豪打を見せたシャーマン・オバンドー(日本ハム)がそのままの勢いでリーグ首位となった。ただ負傷のため出場は107試合にとどまり、1打席あたりの得点貢献を示すwOBA(※3)は.444と圧倒的な数字だったが、積算指標のwRAAでは42.9。リーグ1位の打者としては特に高いものでなかったのは残念だ。また長打率でも.616でトップを記録している。
この年の日本ハムは2年前に続きビッグバン打線と呼ばれ、3位小笠原道大、8位ナイジェル・ウィルソン、9位片岡篤史のいずれもが優秀なwRAAをマーク。チーム総得点は771点と記録的なもので、2位のオリックスを133点も千切っている。このころ日本ハムは攻撃力を生かすべく、よく飛ぶボールを使用していたようだ。他球場でプレーする場合に比べて本拠地で何倍本塁打が出やすい環境であったかを表す本塁打パークファクターは、1999-2001年の3年間で1.999、1.705、1.961となっている。戦力の整備されたライバル相手に、本拠地で攻撃に偏った野球を強いて活路を見出そうとしたもののようだ。
2位のフランク・ボーリック(ロッテ)と3位の小笠原は各種のスタッツがおしなべて良好で、打撃三冠の数字は目立たないが、共にオバンドーに匹敵するwRAAを記録している。4位松中信彦(ダイエー)、5位中村紀洋(近鉄)、8位ウィルソンは高い長打率が目立つ。ほかにはスピードタイプの7位松井稼頭央(西武)が意外なほど高い長打率.560をマーク。この時点で過去のスピードスターには見られなかった能力を示している。9位片岡はこの年も100四球をクリアしている。
NPB最後のシーズンとなったイチロー(オリックス)は30試合を欠場。モチベーションの維持が難しくなってきたようで、やはりメジャーに行ってこその選手と見えるが、この年も打率.387、出塁率.460と規格外のリーグ首位。欠場が多かったためwRAAは伸びなかったがwOBAは3位にランクインしている。
ベスト10圏外選手では小久保裕紀(ダイエー)をピックアップ。負傷欠場のシーズンを乗り越え、ポジションも本格的に三塁に専念。キャリア復活途上の時期にあたる。
各選手が特長を発揮し、スランプに陥る選手が少なかったためかwRAA30オーバーの選手がリーグに8人も出現した。これは1961年以来39年ぶりのことである。