いてまえ打線爆発。タフィー・ローズが55本塁打を達成 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~2001年編~
2020/11/08
Getty Images, DELTA・道作
2001年のパ・リーグ
チーム 試合 勝率 得点 失点 得失点
大阪近鉄 140 .565 770 745 25
ダイエー 140 .547 741 684 57
西武 140 .521 620 584 36
オリックス 140 .515 651 634 17
ロッテ 140 .464 593 608 -15
日本ハム 140 .387 593 713 -120
近鉄がいてまえ打線を武器にリーグを制覇した年である。得点770及び失点745と、いずれも飛びぬけて多く、非常に得点の出入りが多い、忙しい試合を展開していた。745失点は現代も残る優勝チームの最多失点記録である。この年はほかにダイエーが700得点を超えるなど、かなり打撃上位のシーズンであり、そのことが近鉄にとって多少の追い風になっていたかもしれない。
得点生産のリーグ1位もこの近鉄のタフィー・ローズ。シーズン55本塁打の史上最多タイ記録をマークするなど、いてまえ打線の中核を担い、wRAAは60点台と大きな数字をマークして自身2度目の首位となった。1打席あたりの打撃貢献を示すwOBA(※3)、長打率、本塁打でリーグをリードしている。
2位にも近鉄の中村紀洋がランクイン。中村は出塁率.434と打点132でリーグをリードしており、wRAAでも57.4と、トップのローズに迫る値をマーク。2人合計で120点に迫る得点生産となった。これはパ・リーグでは1970年の張本勲・大杉勝男(東映)以来のスコアになる。
3位・4位には小笠原道大(日本ハム)と松中信彦(ダイエー)が各項目に優秀な数字を並べてランクイン。この2人の数字でも通常のシーズンならばトップがうかがえるレベルとなっている。ほかにもこの年来日したアレックス・カブレラ(西武)が初年度から49本塁打をマークして5位。7位の小久保裕紀(ダイエー)も44本塁打を記録するなど打撃上位のシーズンであることを示す数字は多くみられる。
典型的な例が12位のスコット・マクレーン(西武)。シーズンでの単打数52本に対して長打数67本と15本の長打超過となっている。このように長打が単打の数を上回ること自体が珍しいのだが、15本もの超過は1952年に達成された杉山悟(名古屋)の12本を上回る49年ぶりの記録更新であった。
ほかには福浦和也(ロッテ)が.346で首位打者を獲得して8位にランクイン。9位の谷佳知(オリックス)も52本の二塁打を放ち、これは現在でも残るNPB記録となっている。松井稼頭央(西武)は失敗なしで26盗塁。失敗0での史上最多盗塁(2リーグ制以降)をマークするなど、話題の多いシーズンであった。
ベスト10圏外の打者ではさきほど紹介したマクレーンのほかに川口憲史(近鉄)をピックアップ。際どく規定打席には届かなかったがwOBAでは5位のカブレラと並ぶ.419をマーク。強打・近鉄を象徴する脇役として取り上げた。