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河野、上原、加藤……望まれる「左のエース」の誕生。信頼勝ち取るために共通した課題【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#134】

来季巻き返すうえで、やはり投手陣、特に先発陣の立て直しが急務だ。大黒柱が抜ける可能性もあるなか、左のローテ級の投手が台頭してきてほしいところ。その候補となるのは、河野竜生、上原健太、加藤貴之の3人ではないだろうか。

2020/11/15

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先発の信頼を勝ち取るためには

 3人のうち、誰がローテに食い込むか? もちろんその答えを僕が持ってるわけじゃない。そんなことがわかるならコラムなんか書いてないで球団の仕事をしていると思う。それぞれに可能性があるのだ。足りないものがあるから「勝てる投手」になれずにいるのだが、ひとつ見つければ見違えるように成長する気がする。
 
 オフの間にトライできることは球種を増やすことだ。来年すぐ使えるかどうかはともかく、キャッチボールで新しい球種の感覚を(遊びとして)試してみる。上沢はロドリゲスからナックルカーブを教わった。コーチでなくとも、そういう風に誰かから伝授されることはよくある。あるいは映像だ。今はユーチューブを見て、地方の高校生がツーシームをマスターする時代だ。研究熱心ならこの作業は独学でやれる。これはいつ始めても遅くはない。
 
 が、そういうことより何より、3人に共通する課題は粘り強さ、集中力の維持だと思う。打たれた後、どう粘るか。投手が打たれるのは間違いないんだよ。毎回、パーフェクトの投手なんていない。ランナーを出す。失点する。それはしょうがないんだ。そこからどう粘るかが先発投手の仕事だ。新球種の武器といっても「消える魔球」じゃないんだからそれですべてが解決するわけない。いちばん肝心なのは「四球の後、どう立て直すか」「打たれた後、どうまとめるか」「失点の後、どう踏みとどまるか」だ。それができて初めて先発としての信頼を勝ち取れる。
 
「絶好調のとき、いいピッチングをする」のは言ってみれば当たり前だ。3人が一段高みに上がるためには「好不調にかかわらず試合をつくる」という評価を得なくてはいけない。今現在の印象でいちばんまとまりを感じさせるのは河野じゃないだろうか。上原も加藤も(好調時は素晴らしいが)崩れだすと止まらなくなる。来年はファイターズに「左のエース」が誕生してほしい。まだ誰もその域に達してはいない。

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