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松井秀喜が50本塁打、カブレラが55本塁打 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~2002年編~

2020/11/11

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Getty Images, DELTA・道作



2002年のパ・リーグ

チーム   試合 勝率 得点 失点 得失点
西武    140 .647 672 492  180
大阪近鉄  140 .529 598 592  6
ダイエー  140 .529 630 578  52
ロッテ   140 .482 500 565  -65
日本ハム  140 .445 506 570  -64
オリックス 140 .365 438 547  -109
 

 
 この年はストライクゾーンを広める変更が行われたシーズンである。この変更によりパ・リーグ全体の四球数は前年の3141個から2268個へ、前年比72%に激減。代わって三振は108%まで増加した。セ・リーグも四球数は前年比74%に減少、三振は110%に増加と似た推移になっており、ゾーン変更により環境を調整する一定の効果が認められる。ただしボールの飛び方までは調整できなかったようで、依然として打高環境であることは変わっていない。

 この年、歴史的な豪打を見せたのが2年目のアレックス・カブレラ(西武)である。前年のタフィー・ローズ(近鉄)同様に55本塁打のタイ記録をマークして本塁打王。wRAA、1打席あたりの得点貢献を示すwOBA(※3)、長打率、出塁率のすべてで文字通りリーグ内の他打者を圧倒した。wRAAの81.8、wRAAを勝利換算した値(※2)の8.7、wOBAの平均比(※4)1.57 はすべて1986年のランディ・バース(阪神)以来の巨大な数字であった。
 
 2位の松井稼頭央(西武)は遊撃手としては異例のスタッツをマーク。カブレラを上回る359塁打をマークしたが、これは遊撃手としては珍しいリーグ最多塁打であるばかりか、歴代でも4位に相当する異常な数字である。ほかに松井稼はこの年88本の長打を記録したが、これは現在でもNPBの最多記録として残っている。王貞治(読売)でもバースでもウラディミール・バレンティン(当時ヤクルト)でも、はたまた松井秀喜(読売)でもなく遊撃手がシーズン長打の記録保持者なのだ。スピードを旨とする遊撃手がこのような数字をマークすることには驚きを禁じ得ない。
 
 小笠原道大(日本ハム)は首位打者を獲得してwRAA54.4を記録。3年連続の3位となっている。4位中村紀洋と5位ローズの大阪近鉄コンビはともに40本塁打をクリアするなど、各球団にNPBの歴史を飾る強打者が並び、ベスト10は非常に豪華な顔ぶれになっている。多くの強打者の旬の時期が重なったようである。
 
 ベスト10圏外の選手も歴史的な捕手として城島健司(ダイエー)を取り上げる。前年は31本塁打を放ちながら、出塁率の低さにより23位に留まったが、この年は惜しくもベスト10に迫るレベルまで接近。前述したようにこの年は四球が獲得しにくい環境にあったため、四球を奪うことを得意とする打者と苦手な打者で差がつきづらかった。初球から積極的に振りにいくフリースインガーの城島が開花するためには有利な環境であったと言えるだろう。

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