秋山翔吾がメジャー移籍、千葉ロッテ・楽天が大きく動いた2019年オフのFA戦線。FA移籍・人的補償選手の2020年シーズンは?
2020/11/19
Getty Images
公式戦全日程を終了し、残すは日本シリーズのみとなったプロ野球。並行してストーブリーグに突入している。今季フリーエージェント(FA)権を新規取得した有資格者の中には、中日ドラゴンズの大野雄大投手、東京ヤクルトスワローズの山田哲人内野手らビッグネームも多いが、両選手は残留を表明した。
2019年オフは美馬学投手、鈴木大地内野手、福田秀平外野手が国内FA権を行使し、新天地へ。秋山翔吾外野手は海外FA権を行使して、埼玉西武ライオンズからシンシナティ・レッズへメジャー移籍を果たした。東北楽天ゴールデンイーグルスの則本昂大投手、埼玉西武ライオンズの十亀剣投手は国内FA権行使を宣言した上で、チームへの残留を決めた。
そして、FA選手の人的補償となった元ロッテの酒居知史投手、元楽天の小野郁投手が新たなスタートを切った。
昨オフにFA移籍した4選手、人的補償で移籍した2選手の2020年シーズンを振り返る。
美馬学投手
東北楽天ゴールデンイーグルス→千葉ロッテマリーンズ
昨季成績 25試合(143回2/3)、8勝5敗、112奪三振、防御率4.01、WHIP1.18
今季成績 19試合(123回)、10勝4敗、88奪三振、防御率3.95、WHIP1.26
2011年から2019年までの9年間、楽天でプレーした美馬。ルーキーイヤーはリリーフ起用だったが、2年目の2012年からは先発に転向した。翌2013年にはポストシーズンで輝きを放ち、日本シリーズMVPに輝くなど日本一に大きく貢献。2017年には自己最多の11勝を挙げた。
ロッテでも、豊富な経験を活かし移籍初年度から活躍。1年間先発ローテーションの核を担い、昨季を上回る2桁10勝をマークしてクライマックスシリーズ(CS)進出に貢献した。
人的補償:酒居知史投手
昨季成績 54試合(57回2/3)、5勝4敗20ホールド、60奪三振、防御率4.37、WHIP1.32
今季成績 46試合(44回1/3)、3勝2敗12ホールド、34奪三振、防御率3.65、WHIP1.26
2017年ドラフト2位でロッテに入団した酒居。リリーフに専念した昨季は、25ホールドポイントをマークするなど飛躍を遂げたが、プロテクト漏れとなったことから人的補償で楽天に加入することとなった。
今季は開幕2戦目となる6月20日オリックス・バファローズ戦の2番手としてマウンドに上がり、1回無失点で移籍後初ホールドをマーク。最終的に46試合に登板し、一軍でシーズンを完走した。
鈴木大地内野手
千葉ロッテマリーンズ→東北楽天ゴールデンイーグルス
昨季成績 140試合、打率.288、152安打、15本塁打、68打点、3盗塁、OPS.826
今季成績 120試合、打率.295、141安打、4本塁打、55打点、1盗塁、OPS.744
2012年から8年間、ロッテでプレーした鈴木大。ルーキーイヤーから一軍デビューを果たし、2年目の2013年にはレギュラーに定着した。キャプテンに就任した2014年以降も安定した成績を残し、翌2015年からは連続出場記録を継続。様々な打順で起用され、内野の全ポジションに加えて外野も守るなどユーティリティー性も発揮した。昨季は開幕戦で連続試合出場が532試合で途切れるも、すぐにレギュラーへ返り咲き、自己最多の15本塁打を放つ活躍を見せた。
楽天では三塁のレギュラーとして持ち前のキャプテンシーも発揮。打撃も好調で、シーズン最終盤まで打率3割をキープし、9月終了時点では安打数トップに立っていた。最終的に打率3割、最多安打のタイトルは逃したものの、全120試合に出場。自己最高の打率.295をマークした。
人的補償:小野郁投手
昨季成績 13試合(18回2/3)、0勝0敗、14奪三振、防御率6.27、WHIP1.66
今季成績 40試合(39回)、2勝2敗4ホールド、32奪三振、防御率3.23、WHIP1.26
2014年ドラフト2位で楽天に入団した小野。高卒ながらルーキーイヤーから一軍デビューを飾った。2018年からはファームの守護神として2年連続最多セーブに輝くも、一軍ではなかなか芽が出ず。5年目を終えた時点で人的補償によるロッテ入りが決まった。
この移籍が転機となり、今季は大きく飛躍。自身初の開幕一軍メンバーに名を連ねると、6月26日オリックス戦の7回から2番手としてマウンドに上がり、2回無失点の好投でプロ初勝利を挙げた。10月には新型コロナウイルスに感染した選手の濃厚接触者と判定されたことから登録抹消となったが、40試合に登板するなどリリーフの一角として活躍を見せた。
福田秀平外野手
福岡ソフトバンクホークス→千葉ロッテマリーンズ
昨季成績 80試合、打率.259、43安打、9本塁打、26打点、9盗塁、OPS.772
今季成績 62試合、打率.216、44安打、5本塁打、19打点、3盗塁、OPS.629
2007年から13年間、ソフトバンクでプレーした福田秀。高卒4年目の2010年に一軍デビューを果たすと、翌2011年には97試合に出場し、22盗塁を決めるなど存在感を放った。同年から盗塁の連続成功記録を継続し、2015年には当時のNPB記録となる32回連続成功を記録。足のスペシャリストとして欠かせない存在となった。レギュラー定着とはならなかったが、2018年には100試合出場で打率.263、7本塁打など打撃でも存在感を示し、昨季は自己最多の9本塁打を放った。
外野のレギュラーとして期待された今季は、練習試合で受けた死球により開幕一軍も危ぶまれたが、古巣との対決となった6月19日の開幕戦では「1番・中堅」でスタメン出場。しかし同試合後に右肩甲骨の亀裂骨折と診断され、一ヶ月強の離脱を強いられた。復帰後は少しずつ状態が上がっていたが、8月29日に今度は右恥骨筋損傷により登録抹消となった。最終的に62試合の出場で打率.216、5本塁打、3盗塁と相次ぐけがの影響もあり、本領発揮とはならなかった。
秋山翔吾外野手
埼玉西武ライオンズ→シンシナティ・レッズ
昨季成績 143試合、打率.303、179安打、20本塁打、62打点、12盗塁、OPS.863
今季成績 54試合、打率.245、38安打、0本塁打、9打点、7盗塁、OPS.654
2011年から9年間、西武でプレーした秋山。1年目から110試合に出場すると、3年目の2013年からは中堅のレギュラーに定着した。2015年には216安打を放ち、NPB新記録を樹立。9年間で首位打者1回、最多安打4回、ベストナイン4回、ゴールデングラブ賞6回など数々のタイトルを受賞した。
メジャー移籍を果たした今季は、デトロイト・タイガースとの開幕戦に6回2死一、二塁の場面で代打として出場。中安打を放ち、初打席初安打初打点の鮮烈なデビューを飾った。以降は左翼・中堅守備で好守を見せるなど守備力を発揮した一方で、打撃面は苦しみ、一時は打率1割台にまで落ち込んだ。シーズン終盤に入ると、メジャーの投手に適応。9月の月間打率は3割を超え、1年目からポストシーズンも経験した。また、左翼手部門でゴールドグラブ賞の最終候補者に残るなど、来季以降に繋がるシーズンを送った。