下剋上がもたらす興奮、スリル満点のゲーム展開……名勝負を生み続けるクライマックスシリーズ
ついにポストシーズンへと突入するプロ野球。10月11日から、セ・リーグは阪神対広島、パ・リーグはオリックス対日本ハムのカードで、クライマックスシリーズ(CS)がスタートする。前身となったプレーオフ制度から数えて、今季で11度目の開催となるCS。勝ち上がり方式の短期決戦ゆえに生まれた名勝負、想像を超えたドラマを振り返る。
2014/10/11
〝CSの申し子〟となった2010年のロッテ
10月11日より、セ・パ両リーグともに日本シリーズへの出場権をかけたクライマックスシリーズ(CS)が始まる。
CSは、パ・リーグが2004年から3シーズンに渡って導入された、上位3球団によるノックアウト方式のプレーオフが前身となった制度。これが野球ファンの間で好評を博し、2007年よりセ・パともに「クライマックスシリーズ」と名称が統一され、現在に至っている。
リーグ優勝の価値や、下位チームが日本一への可能性を残すことの是非など、導入から8年が経過した今でも賛否両論は尽きないが、プロ野球の新たな楽しみ方をつくり出したのは間違いない。
短期決戦ゆえのスリルあふれるゲーム展開、下位チームの下剋上をもたらす、ある種の〝エクスタシー〟など、名勝負と呼ばれるゲームに欠かせない要素が強く加わり、日本プロ野球のエンターテインメント性は確実に高まった。
こうしたスリルや興奮を最大級に生み出し、CS史上において最高のエンターテイナーとなったチームが、2010年のロッテである。
この年、レギュラーシーズンを3位で終え、10月9日から敵地で行われた西武とのファーストステージに挑んだロッテ。ファイナルステージ進出をかけた短期決戦は、CSの醍醐味をこれでもかと感じさせる、熱量の高いゲームの連続となった。
初戦、8回を終えた段階で1対5と大きくリードを許し、敗色濃厚となったロッテは9回に意地を見せる。西武抑えのシコースキーを打ち込み、1死満塁のチャンスを作ると、金泰均(現ハンファ・イーグルス)が2点タイムリー。さらに、同じく満塁のチャンスで里崎智也が2点タイムリーを放ち、土壇場で同点に追いついた。
勢いに乗ったロッテは、延長11回に福浦和也のソロ本塁打で6対5と勝ち越しに成功。このリードを守りきり、大逆転で大事な初戦を白星で飾った。
翌日の第2戦も初戦と同様、9回に起死回生の里崎智也の同点ホームランで追いつき、再びの延長戦では井口資仁のタイムリーで勝ち越し。2試合連続で9回に追いつき、延長戦で勝ち越すという劇的なドラマを演じて勝ち抜いたロッテは、その後も予想をくつがえす快進撃を見せる。
ソフトバンクとのファイナルステージでは、王手をかけられた段階から3連勝を果たし、日本シリーズへ進出。日本一の座をかけた中日との日本シリーズは、7試合中3試合が延長戦となる激闘となったが、粘り強さを発揮して4勝2敗1分で制し、史上初となるリーグ3位からの日本一を達成した。
追い込まれてからの大逆転劇、ヒエラルキーをくつがえす下剋上。2010年のロッテはCSならではの面白さをすべて体現し、まさに〝CSの申し子〟〝KYなロッテ〟となったのである。