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下剋上がもたらす興奮、スリル満点のゲーム展開……名勝負を生み続けるクライマックスシリーズ

ついにポストシーズンへと突入するプロ野球。10月11日から、セ・リーグは阪神対広島、パ・リーグはオリックス対日本ハムのカードで、クライマックスシリーズ(CS)がスタートする。前身となったプレーオフ制度から数えて、今季で11度目の開催となるCS。勝ち上がり方式の短期決戦ゆえに生まれた名勝負、想像を超えたドラマを振り返る。

2014/10/11

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一球の怖さと惜別の一撃

 CSの前身であるプレーオフでも名勝負は生まれた。
 
 2006年10月12日、ソフトバンクと日本ハムの間で行われた第2ステージ第2戦は、野球における1球の怖さを改めて思い知らされるゲームとなった。
 
 ソフトバンクの先発はエースの斉藤和巳(現・解説者)。150キロを超えるストレートを軸に、8回まで日ハム打線を完封。第1戦を落として後がないチームを圧巻の投球内容で引っ張っていた。
 しかし打線の援護に恵まれず、8回を終わってスコアは両チームとも無得点。そして、9回裏に衝撃の展開が待ち受けていた。
 
 2死1、2塁のサヨナラ負けのピンチで、稲葉篤紀に内野安打を許し、まさかのサヨナラ負け。斉藤の力投は報われることなく、ソフトバンクのプレーオフ敗退が決まった。
 
 敗戦の瞬間、斉藤はマウンドにヒザから崩れ落ちて号泣。チームメイトに抱えられてベンチへと戻る姿は、今でも多くのプロ野球ファンの脳裏に焼きついている。
 
 また、阪神と広島の間で争われた、昨季のセ・リーグのファーストステージは、メモリアルなものとなった。
 
 10月13日、甲子園。第1戦を制してファイナルステージ進出へと王手をかけたシーズン3位の広島が、9回表を終わって7対2と大きくリード。その裏、最後の反撃を試みる阪神は、2死1塁の場面で〝神様〟桧山進次郎(現・解説者)を代打へと送る。
 
 このシーズン限りでの引退を表明していた44歳(当時)の桧山は、広島抑えのミコライオから阪神ファンで埋まるライトスタンドに本塁打を叩き込んだ。
 神様の一撃に甲子園に大歓声があがり、ダイヤモンドを回る桧山を祝福する。反撃はこの2点にとどまり、ファーストステージ敗退が決まった。敗戦の悔しさと、引退する桧山の惜別の一発に多くの阪神ファンが涙した。
 
 一方の広島は、初のCSでファイナルステージへの進出を達成。普段の甲子園は虎ファン一色の中で、この日は聖地を真っ赤に染めたカープファン。カープの勢いを示す結果となった。
 
 多くの予想もできないようなドラマを生んできたCS。プロ野球をさらに大きなエンターテインメントへと昇華させた、このシリーズで今季どんなドラマが生まれるのだろうか。

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