2000安打達成の坂本勇人、打撃2冠の岡本和真、投手部門は大野雄大と菅野智之の一騎打ちか…2020年シーズンのベストナインの行方は?<セ・リーグ編>
2020/12/07
福岡ソフトバンクホークスの4連覇で幕を閉じた2020年のプロ野球。今後発表されていく表彰には、ベストナイン賞も控えている。
ベストナインは、プロ野球担当記者による投票によって受賞者が決定。各ポジション1名、外野手は3名、パシフィック・リーグのみ指名打者(DH)部門が選出される。
今回は、セントラル・リーグのベストナインの行方を予想していく。
投手
投手部門は、中日ドラゴンズの大野雄大投手、読売ジャイアンツの菅野智之投手の一騎打ちの様相。今季の大野雄は最優秀防御率と最多奪三振の投手2冠、完投能力が決め手となり、沢村賞を受賞した。対する菅野は最多勝と最高勝率で同じく投手2冠、チームを2連覇に導き、シーズンMVPの筆頭候補でもある。タイトルを分け合った両投手の争いは、沢村賞以上の激戦となりそうだ。菅野が受賞すれば4度目、大野雄は初受賞となる。
大野雄大 20試合(148回2/3)、11勝6敗、勝率.647、10完投6完封、148奪三振、防御率1.82、WHIP0.87
菅野智之 20試合(137回1/3)、14勝2敗、勝率.875、3完投3完封、131奪三振、防御率1.97、WHIP0.89
捕手
捕手部門は、巨人の大城卓三捕手が有力か。今季は規定打席未満ながら、打率.270、9本塁打、41打点をマーク。課題の守備面でも、盗塁阻止率.340とするなどチームを支えた。対抗馬としては、リーグ捕手最多の98試合に出場した阪神タイガースの梅野隆太郎捕手、大野雄と最優秀バッテリー賞に輝いた中日の木下拓哉捕手らがいる。3選手はいずれも受賞すれば自身初の快挙となる。
大城卓三 93試合、打率.270、74安打、9本塁打、41打点、1盗塁、OPS.751(長打率.412+出塁率.339)
梅野隆太郎 98試合、打率.262、78安打、7本塁打、29打点、5盗塁、OPS.723(長打率.389+出塁率.333)
木下拓哉 88試合、打率.267、67安打、6本塁打、32打点、OPS.705(長打率.402+出塁率.303)
一塁手
一塁手部門は、東京ヤクルトスワローズの村上宗隆内野手が有力視される。弱冠20歳の若き4番は、課題となっていた確実性を大幅に向上させ、全120試合出場で打率.307、28本塁打、86打点をマーク。出塁率.427で最高出塁率のタイトルを獲得した。懸念点は三塁手部門に票が流れることだ(54試合で三塁に就いた)。また、3年連続受賞を狙う中日のダヤン・ビシエド内野手も17本塁打、82打点をマークし、一塁守備でも高い貢献度を見せた。ビシエドが受賞すれば3度目、村上は初受賞となる。
村上宗隆 120試合、打率.307、130安打、28本塁打、86打点、11盗塁、OPS1.012(長打率.585+出塁率.427)
ダヤン・ビシエド 109試合、打率.267、109安打、17本塁打、82打点、3盗塁、OPS.776(長打率.447+出塁率.329)
二塁手
二塁手部門は、混戦が予想される。まずは二塁手初の守備率10割を達成した広島東洋カープの菊池涼介内野手。打撃でも打率.271、10本塁打と存在感を放った。中京学院大の後輩でもある巨人の吉川尚輝内野手は、菊池涼を上回る打率.274をマーク。攻守に渡る活躍でチームの正二塁手に定着した。
過去2年間は外野手でベストナインを受賞している横浜DeNAベイスターズのネフタリ・ソト内野手は、今季も二塁手を兼任。3年連続本塁打王は逃したが、25本塁打と主砲ぶりを発揮した。3年連続受賞を狙うヤクルトの山田哲人内野手は、打率.254、12本塁打とやや物足りない成績に終わっている。山田が受賞すれば5度目、ソトが受賞すれば通算3度目(二塁手としては初)、菊池涼が受賞すれば2度目、吉川尚は初受賞となる。
菊池涼介 106試合、打率.271、102安打、10本塁打、41打点、3盗塁、OPS.757(長打率.423+出塁率.334)
吉川尚輝 112試合、打率.274、97安打、8本塁打、32打点、11盗塁、OPS.734(長打率.398+出塁率.336)
ネフタリ・ソト 114試合、打率.252、108安打、25本塁打、78打点、OPS.793(長打率.470+出塁率.323)
山田哲人 94試合、打率.254、85安打、12本塁打、52打点、8盗塁、OPS.766(長打率.419+出塁率.346)
三塁手
三塁手部門は、巨人の岡本和真内野手が堅いだろう。今季も不動の4番として打線を牽引し、本塁打王、打点王の打撃2冠を獲得。チームの2連覇に大きく貢献した。対抗馬としては、岡本と最後まで本塁打王争いを繰り広げた阪神の大山悠輔内野手らがいる。岡本、大山はともに初受賞となる。
岡本和真 118試合、打率.275、121安打、31本塁打、97打点、2盗塁、OPS.907(長打率.545+出塁率.362)
大山悠輔 116試合、打率.288、122安打、28本塁打、85打点、1盗塁、OPS.918(長打率.560+出塁率.357)
遊撃手
遊撃手部門は、3年連続受賞を狙う巨人の坂本勇人内野手でほぼ決まりだろう。今季は終盤にかけて調子を上げ、打率.289、19本塁打をマーク。2000安打の大記録も達成した。遊撃守備でも確実性を取り戻し、高い貢献度を見せた。対抗馬としては、正遊撃手として復活を遂げた広島の田中広輔内野手らがいる。坂本が受賞すれば6度目、田中広は2度目となる。
坂本勇人 115試合、打率.289、119安打、19本塁打、65打点、4盗塁、OPS.879(長打率.500+出塁率.379)
田中広輔 112試合、打率.251、95安打、8本塁打、39打点、8盗塁、OPS.721(長打率.370+出塁率.351)
外野手
外野手部門は、例年同様に熾烈な争いが繰り広げられているが、タイトルに輝いた選手達が最有力候補に挙げられるのではないだろうか。まずはDeNAの佐野恵太内野手。今季は筒香嘉智外野手(現タンパベイ・レイズ)の後継者として「4番・左翼」、さらには主将に就任した。開幕から好調を維持して打率.328、20本塁打をマークし、首位打者のタイトルを獲得。大きな期待に結果で応えた。中日の大島洋平外野手は、今季も卓越した打撃技術で打率.316をマーク。146安打を放ち、2年連続で最多安打に輝いた。
続いて、惜しくもタイトルを逃したDeNAの梶谷隆幸外野手とヤクルトの青木宣親外野手だ。梶谷は打率.323、140安打がともにリーグ2位、青木は打率.317がリーグ3位、出塁率.424がリーグ2位の数字となった。さらに青木は、左翼守備で守備率10割を達成。38歳のベテランに衰えは見えなかった。
最後に5年連続受賞を狙う巨人の丸佳浩外野手と広島の鈴木誠也外野手だ。丸は開幕直後の打撃不振を乗り越え、全120試合出場で打率.284、27本塁打をマークし、岡本、大山らとの本塁打王争いにも加わった。鈴木誠はシーズン中盤にやや調子を落としたが、打率.300、25本塁打をマーク。今季も持ち前の打棒を発揮した。青木が受賞すれば8度目、丸は6度目、鈴木誠は5度目、大島は2度目、梶谷、佐野は初受賞となる。
佐野恵太 106試合、打率.328、132安打、20本塁打、69打点、OPS.927(長打率.532+出塁率.395)
大島洋平 118試合、打率.316、146安打、1本塁打、30打点、16盗塁、OPS.763(長打率.381+出塁率.382)
梶谷隆幸 109試合、打率.323、140安打、19本塁打、53打点、14盗塁、OPS.913(長打率.527+出塁率.387)
青木宣親 107試合、打率.317、113安打、18本塁打、51打点、2盗塁、OPS.981(長打率.557+出塁率.424)
丸佳浩 120試合、打率.284、120安打、27本塁打、77打点、8盗塁、OPS.928(長打率.553+出塁率.375)
鈴木誠也 118試合、打率.300、129安打、25本塁打、75打点、6盗塁、OPS.953(長打率.544+出塁率.409)
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