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史上初の“5冠”も夢ではない。前人未到の挑戦が続くヤクルト、山田哲人【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、前人未到の5冠達成も見えてきたヤクルト・山田哲人をはじめ、野手の主要タイトルについてだ。

2015/07/31

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過去の名選手も達成していない5冠

 次にセリーグだ。

広尾様0731表3

 川上は戦後も1度、3冠をとっている。その3年後、新人の長嶋茂雄が本塁打、打点、最多安打の3冠。打率、盗塁はいずれもリーグ2位。5冠も夢ではなかったことがわかる。以後、長嶋は2度3タイトルを獲得。

 その後は王貞治の時代が続く。1969年、70年と王は「三冠王」のチャンスがあったが、いずれも長嶋茂雄に阻止されている。二人はONと並び称される名コンビだが、現役中は一度も二人で会食したことはないと言われる。ライバル意識は強烈だったのだ。

 王は長嶋の引退前年の1973年に「三冠王」を獲得。これに加えて最多安打も獲得し4冠となった。翌年も「三冠王」をとるが、最多安打は松原誠に阻止された。
しかし王は、俊足とは言えない打者であり、盗塁のタイトルは考えられなかった。

 その後、阪神のバースが連続「三冠王」をとり4冠を2度達成。横浜のロバート・ローズが本塁打を除く3冠を獲得した。

 2005年の青木宣親はこれまで全くなかったケース。最多安打、首位打者、盗塁王の3冠を獲得している。

 続いてパリーグだ。

広尾様0731表4

 パリーグは創設初年度に阪神から毎日に移籍した別当薫が3冠を獲得。1953年、西鉄ライオンズの「怪童」中西太がこれに続いた。そして戦後初の「三冠王」に輝いた野村克也が最多安打も含めて4冠を獲得。1979年には阪急の主軸打者、加藤英司が3冠を獲得した。1982年には落合博満は「三冠王」、最多安打も含めて4冠を獲得。1984年にはブーマーが「三冠王」、彼も最多安打を含めて4冠。1985、86年は落合博満が史上初の2年連続「三冠王」になるが、最多安打はいずれもブーマーに阻止されている。二人の「三冠王」はこの時期、熾烈なライバル争いをしていた。ブーマーは阪急がオリックスに身売りした後も、1度3冠を取っている。

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