マット・マートン、西岡剛が200本安打を達成 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~2010年編~
2020/12/10
Getty Images, DELTA・道作
2010年のパ・リーグ
チーム 試合 勝率 得点 失点 得失点
ソフトバンク 144 .547 638 615 23
西武 144 .545 680 642 38
ロッテ 144 .528 708 635 73
日本ハム 144 .525 612 548 64
オリックス 144 .493 644 628 16
楽天 144 .440 576 635 -59
この年は前年故障に苦しんだアレックス・カブレラ(オリックス)がリーグ首位となった。打撃3部門でのタイトル獲得こそなかったものの、各指標で欠点のない活躍を見せた。長打率ではなく出塁率.428でリーグトップとなっている。あの腕っぷしで出塁の順位のほうが高いというのも面白い。来日当初から比べると、より出塁に重きを置いたスタイルになっているようだ。そのほか1打席あたりの得点貢献を表すwOBA(※3)でも1位をマークしている。来日してすぐ豪打を披露した上、10年近く経って最強打者という例は20世紀にはなかった。こういったレアケースに該当するタフィー・ローズ、カブレラの2人が同じ時期に出現し、一時は同じチームにいたのはなかなかの偶然である。
2位は出塁タイプの打者の典型である西岡剛(ロッテ)。この年は打率.346で首位打者を獲得したものの、出塁率ではトップのカブレラにわずかに届かなかった。3位にはMLBでの4年間のプレー後、前年からNPBに復帰していた井口資仁(ロッテ)。井口も最多四球98を記録するなど、出塁力を主武器としてのランクインであった。翌年から渡米する西岡、帰国してロッテ入りした井口が同一チームで2・3位に並ぶこととなった。
4位には27本塁打を放った多村仁志(ソフトバンク)、5位には本塁打王と最高長打率.575を記録したT-岡田(オリックス)が入った。ただこの年は長打よりも出塁能力に優れた選手のランクインが目立っている。
またこの頃には、リーグ内における打者の新旧交代を予感させる出来事が多く起こっている。前年のオフにはローズがオリックスを退団、カブレラはこの年が最後の規定打席到達、この翌年には中村紀洋のセ・リーグ(横浜)移籍が発生している。G.G.佐藤(西武)もこの翌年に出場機会を失い、退団することになる。
ベスト10圏外の注目選手は日本ハムの小谷野栄一。若手時代は多くのポジションを経験したが、前年から三塁に定着。この年は全試合に出場し、2度目の規定打席到達となった。wRAAでは12.1で14位に留まっているが、109打点でタイトルも獲得した。パ・リーグにおける16本塁打での打点王は、1951年飯田徳治(南海)の15本以来の少ない本塁打でのものであった。この時代の日本ハムは、糸井嘉男、田中賢介など出塁能力に優れた選手を多く上位打線に組み込んでいた。これにより、後続の打者が一般的な打撃成績から想像するよりも多くの打点を記録するケースが続出している。