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【プロ野球評論家・与田剛の眼】セパともに第1戦の勝敗がすべて。打力の広島、リリーフ陣が揃うオリックスが有利か

 セ・パともにクライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージが開幕する。セ・リーグは昨年に続き阪神(セ2位)と広島(セ3位)、パ・リーグはオリックス(パ2位)と日本ハム(パ3位)の顔合わせとなった。はたして、先に2勝を挙げファイナルステージへと駒を進めるのはどのチームなのか? プロ野球評論家の与田剛氏にCSファーストステージの行方を占ってもらった。

2014/10/11

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前田健太の中4日起用は避けるべき 昨年、CS登板なしの能見に期待

 CSファーストステージは、先に2勝したチームがファイナルステージへと進む超短期決戦です。そのため、第1戦の勝敗がものすごく大きな意味を持ちます。

 実際、CSが始まった2007年以降、ファーストステージはセ・パ合わせて14度ありましたが、第1戦に敗れたチームがファイナルステージに進んだのは2009年の中日の一度だけ。

 いかに第1戦に勝つことが重要なのかがわかります。そこで、第1戦をどう戦うかを中心に今年のCSを予想したいと思います。

 セ・リーグは昨年とまったく同じ、甲子園での阪神×広島の試合になりました。広島は本拠地開催まであと1勝に迫りながら勝てず、敵地での試合となってしまいました。
 さらに、野村謙二郎監督の辞任が発表されるなど、チームの精神状態は決していいとは言えません。

 なにより懸念されるのが、「野村監督のために勝たなければ」という気負いです。これがいい方向にいけばいいのですが、必要以上に力が入ったり、体が動かなくなったりするおそれがある。広島にとっては、技術というよりも気持ちの勝負になりそうです。

 また広島の場合、第1戦のマウンドに誰にするのかも注目です。普通なら、エースの前田健太なのでしょうが、10月6日の巨人戦に先発して8回、118球を投げた。

 もし第1戦のマウンドを前田に託すことになると、中4日になってしまう。もちろん、彼のように実力も実績もある選手なら中4日でも投げられると思います。
 ただ、少しでもいい状態でマウンドに上げたいのであれば、中4日よりも中5日のほうが確実です。

 大事な第1戦をエースに託したい気持ちもわかりますが、状態のいい投手をマウンドに上げるべきだと思います。阪神としても、中4日よりも中5日の前田のほうが嫌なはずです。首脳陣の判断にも注目が集まります。

 一方の阪神は、メッセンジャー、能見篤史、藤浪晋太郎の順番でいくでしょう。この中で注目したいのが能見です。
 昨年は第3戦に登板する予定でしたが、2連敗したために一度もマウンドに上がることなくCS敗退となりました。能見としても期するものがあるはずです。今年はなかなか勝ち星に恵まれず苦しみましたが、シーズン終盤に能見らしいピッチングを披露していました。

 今シーズン最後の登板となった10月1日の広島戦でも6回1失点と好投し、いいイメージでCSに入れると思いますので、どんなピッチングを見せてくれるのか楽しみです。

 そして今回のファーストステージの戦いは、「広島の打線VS阪神の投手陣」になると思っています。

 今シーズンの広島は序盤こそ投手力で勝っていましたが、本来は菊池涼介、丸佳浩、エルドレッドを中心とした攻撃力のチームです。

 特に上位は、打つだけなく、足を絡めた攻撃もできる。そして中軸は一発もある。非常にバリエーションに富んだ攻撃を仕掛けられるのが特長です。シーズン終盤はなかなか足を絡められず得点力不足に陥りましたが、本来の機動力を絡めた攻撃ができると、相手もストレート中心の配球となり、長打も期待できる。

 その広島の攻撃力を、阪神投手陣がいかに抑えるか。そこが焦点になると思います。

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