日本ハム・栗山監督が逆転Vのキーマン、大谷に厳しく接する理由
現在リーグ2位の日本ハム。独走状態の首位・ソフトバンクを必死に追走しているものの、その背中はなかなか見えて来ない。首位追撃には、やはり二刀流・大谷翔平の活躍がカギを握りそうだ。
2015/08/02
なぜ、栗山監督は大谷を誉めないのか
しかしながら栗山監督は、そういう大谷をほとんど誉めない。特に今季は、随分と厳し過ぎると思えるような言葉も目立つ。5月14日に本拠地・札幌ドームで行われた西武戦に先発し、6勝目をマークした大谷について報道陣から試合後「エースの働きをしたのではないか」と問われると、指揮官はニコリともせずに強い口調で次のように言い放ったことがあった。
「(チームを)優勝させたらエースだよ。でもオレは一番最後まで認めない。こんなところで喜んでいるような投手じゃないからね」
そして、つい先日の7月29日も栗山監督はオリックス戦(ほっともっと神戸)試合前のベンチ内で大勢の報道陣を前にしながら大谷を断罪していた。前日28日に同球場で行われたオリックス戦で6回二死二塁から代打で登場した大谷が敬遠四球後にベンチから代走・岡が送られると、一塁ベースを踏まずに自軍ベンチへ戻ってしまうミスを犯していたからだ。投手交代したオリックス・岸田の投球練習の間に大谷がベンチから一塁ベースを踏みに戻ったことで事無きを得たものの指揮官の怒りは一夜明けても沈静化していなかった。
「大バカ野郎を超えているな。感覚的に問題だよ。裸で家を出る感覚…。う~ん、これは違うかもしれないな。1週間、ご飯を食べるのを忘れたようなものか。いずれにしても、こちらが怒る以前の問題だ」
ジョークを交えたトーンであったとはいえ「大バカ野郎」という語句は、なかなか口にされるような言葉ではない。それでも栗山監督がこういう乱暴な言葉を発したのは珍プレーに対する怒りもさることながら、大谷にさらなる発奮を求めたからだろう。どちらかと言えば、おとなしく優等生っぽい草食系の大谷にあえて厳しい批評を向け続けることによって〝怒りのパワー〟を産み出させる。そうすれば、誰もがヘばり気味になりそうな大事な夏場以降の戦いで大谷が踏ん張り、宿敵・ソフトバンクを相手にエース&主軸打者として投打に大暴れを見せてくれるだろう。人心掌握術でも非常に優れた感覚を持つ栗山監督ならば、そう計算していたとしても何ら不思議はない。
翔平よ、悔しかったらオレの言葉に発奮してみろ――。打倒ソフトバンクを目論む栗山監督は、そのキーパーソンと踏んでいる大谷に今も心の中できっとこう叫んでいるはずだ。