現役選手なら吉川尚輝や藤原恭大。「バントの神様」が語る、理想の2番打者像
プロ野球春季キャンプが2月1日から、宮崎と沖縄で一斉に開始する。阪神タイガースでは、元巨人・中日で現在は評論家としても活躍する“バントの神様”川相昌弘氏が臨時コーチを務めることで話題となっている。読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズで過ごした現役生活は24年間。通算犠打数533は、いまも破られていない世界記録――。1990年代の巨人で不動の2番ショートとして活躍し、巨人、中日で二軍監督、三軍監督、一軍ヘッドコーチなども歴任した「バントの神様」が、現代野球界における理想の2番打者像を語ってくれた。<12月28日初掲載>
2021/01/30
強打者を2番に据えるチームが増えているが……
私が現役時代を過ごした1980~2000年代と今の野球界を比較すると、「2番打者」に求められる役割は大きく変わってきたと感じます。
メジャーリーグの影響もあって、ここ数年はいわゆる「強打者」を2番に据えるチームも増えてきました。2019年にシーズン40本塁打を記録した坂本勇人を2番で起用した巨人などは、その代表例でしょう。
ただ、打線として「2番」の役割を考えたとき、いわゆる「つなぎ役」であることは不変です。現代の野球界ではその「つなぎ方」が多様化してきただけなのです。1番打者が塁に出たら、バントであってもエンドランであっても、ヒッティングでも長打でも、3番以降に「つなぐ」のはいつの時代も同じ。
私の場合はバントや右打ちを求められるケースが多かったですが、たとえばそこに足が速いとか、時には長打も打てるとか、そういうプラスαの要素があれば、ベストのように感じます。
自分が指導者だったらと考えると、左打者で足が速く、状況に応じた打撃ができる。もちろん、バントやセーフティバントも上手い。そういう打者を2番に据えることができたら、楽でしょうね。
現役選手でパッと頭に浮かぶのは、吉川尚輝(巨人)。今季は主に1番を任されていましたが、彼を2番に据えることができる打順を組めたら、かなり強力な打線になると思います。ロッテの藤原恭大も面白いですよね。野球センスも高いし、長打も打てる。それでいて足も速いからダブルプレーのリスクも少ない。彼らのように攻撃のオプションが多い打者が2番にいると、作戦も立てやすくなります。