プロ野球選手として成功するには? 「バントの神様」が認める、アライバの野球への姿勢
プロ野球春季キャンプが2月1日から、宮崎と沖縄で一斉に開始する。阪神タイガースでは、元巨人・中日で現在は評論家としても活躍する“バントの神様”川相昌弘氏が臨時コーチを務めることで話題となっている。2006年の現役引退後、読売ジャイアンツと中日ドラゴンズの2球団で12年間、指導者を務めた川相氏は、一軍、二軍、三軍すべてのカテゴリで指導を行った経験を持つ。そんな川相氏に、二軍と三軍の違い、一軍で活躍できる選手の共通点を語ってもらった。<12月29日初掲載>
2021/01/31
ボールの扱いが上手い選手は、一軍に上がれる可能性が高い
一軍、二軍、三軍でたくさんの選手を見続けてきましたが、「こういう選手が一軍に上がれる」と感じるポイントは「ボールの扱い方の上手さ」です。
捕り方や投げ方がきれいというわけではなく、言葉では説明しにくいのですが、キャッチボールやノックを見ていると、選手によってボールの扱い方には間違いなく差があります。
プロ野球選手ですから、たとえばパワーがある選手、足が速い選手、肩が強い選手はいくらでもいます。ただ、野球はあくまでもボールとバット、グローブなど「道具」を使うスポーツ。身体能力が高くても、道具を上手くあつかえないとなかなか上にはいけません。
そのうえで、持っている能力をいかに「野球技術」に昇華できるかも重要です。これはやはり、日ごろからどれだけ野球について考えているか、練習から全力でプレーしているか、そういう野球に対する姿勢も大きく影響していると感じます。
その意味で指導者時代、特に印象深かったのが中日にいた荒木雅博、井端弘和のふたり。彼らは絶対的なレギュラーでありながら、練習で一球たりとも手を抜かない。それだけの体力もありましたし、セカンドの荒木はベースカバーもつねに全力で行っていました。
彼らふたりは特筆してパワーがあるとか、そういうタイプではありませんでしたが、野球に対する姿勢は、素直に「すごい」と思いましたね。
書籍情報
【現役選手、指導者へ贈る野球 IQ 向上メソッド】
ベースボールインテリジェンス 実践と復習の反復で「頭を整理する」
(著者:川相昌弘(元読売ジャイアンツ、中日ドラゴンズ)/四六判/272頁/定価1700 円+税)2020年12月7日発売
【本人による実技写真解説】
通算犠打数533は世界記録。ゴールデングラブ賞6回受賞。プロ野球人生で書き綴ったノートを基に、技術論・指導論を体系化。平凡な私がプロで生き残れた理由がこの本に詰まっている。
「頭を整理して、グラウンドで戦えるか」。
教わったこと学んだことをイチ早く吸収していくには、一度言われたことをしっかりと覚えておかなければいけない。漠然と練習をしているだけでは、技術も上がらなければ、戦術の理解度も上がっていかない。ひとつひとつのプレーや動きに、どれだけ根拠を持つことができるか。良かったことも悪かったことも自分の言葉で説明できるようにならなければ、本当の意味で理解したとは言えない。理解がなければ、上達にはつながっていかない。
本書は、心/守備(基本)/守備(連携)/バント/打撃/走塁の6つの構成から成る。いずれも、野球ノートに記してきた技術論や精神論をもとに、各分野を極めるためのポイントを詳細に記した。
【目次】
第1章 心の持ち方
第2章 守備(基礎)編
第3章 守備(連携)編
第4章 犠打編
第5章 打撃編
第6章 走塁編
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「BASEBALL INTELLIGENCE ベースボールインテリジェンス 実践
と復習の反復で「頭を整理する」」
川相昌弘(かわい・まさひろ)
1964年9月27日、岡山県出身。岡山南高では投手としてチームをけん引、甲子園に春夏計2回出場した。1982年のドラフト会議で読売ジャイアンツから4位指名を受け、内野手として入団した。選手層の厚いチームにおいて、守備力とバントで存在感を示すと、藤田元司氏が監督に就任した1989年に、レギュラーを奪取。以降、ジャイアンツの2番・ショートとして中軸のつなぎ役として活躍した。2004年から巨人でも一緒にプレーした落合博満監督率いる中日ドラゴンズへ移籍、新天地でも貴重な戦力として重宝された。2006年に現役引退後は中日・巨人のコーチを歴任。現在は野球解説者を務めている。