柳田悠岐の時代が継続。山川穂高も台頭 セイバーメトリクスの視点で過去の打撃ベスト10を振り返ろう ~2017年編~
2021/01/08
DELTA・道作
2017年のパ・リーグ
チーム 試合 勝率 得点 失点 得失点
ソフトバンク 143 .657 638 483 155
西武 143 .564 690 560 130
楽天 143 .550 585 528 57
オリックス 143 .444 539 598 -59
日本ハム 143 .420 509 596 -87
ロッテ 143 .383 479 647 -168
このシーズンも過去2年に続き柳田悠岐(ソフトバンク)がwRAAランキング1位となった。この年は2015年以来の30本塁打以上をマークしたばかりではなく、リーグ最多の89四球を選ぶなどで、出塁率、長打率、1打席あたりの得点貢献を示すwOBA(※3)、そしてwRAAで首位を独占した。これらの指標でのリーグ首位独占は3年連続のこととなり、過去のレジェンド級打者の実績にこの時点で並びつつある。
2位の秋山翔吾(西武)も好調の1年であった。打率.322で首位打者を獲得したほか長打力の進境も著しく、キャリアハイの25本塁打、リーグ最多の38二塁打を記録。柳田を6本上回るリーグ最多の68長打を放つなどして出塁率、長打率ともに柳田に次ぐリーグ2位となっている。このためwRAA、wOBAといったセイバーメトリクスにおける得点貢献指標も、2位の選手としてはかなり高いものとなった。
3位以下には、T―岡田(オリックス)、アルフレド・デスパイネ(ソフトバンク)、ゼラス・ウィーラー(楽天)、カルロス・ペゲーロ(楽天)と長打力を特長とした選手が並ぶ。そんな中にあって8位西川遥輝(日本ハム)の名前は異彩を放つ。西川はデビュー後一貫して出塁能力とスピードを武器にしている選手で、前年の2016年は出塁率4割をクリアしている。チャンスメーカーとあって本来は相手投手が四球を与えたくない対象であるにもかかわらず、この年もリーグ4番目に多い69もの四球を奪っている。また、翌年の200盗塁達成時にはその成功率の高さも話題となった。
なお、中村剛也(西武)はデビュー以降、規定打席に到達すれば必ず本塁打王を獲得するという珍しい記録をもっていたが、この年は27本塁打。本塁打王を獲得したデスパイネの35本に及ばず記録が途絶えている。
ベスト10圏外の注目選手では前年に続き大谷翔平(日本ハム)と、新たに近藤健介(日本ハム)、山川穂高(西武)の3選手をとり上げたい。彼らはいずれも規定打席未到達の選手だ。大谷はこの年も231打席と前年同様に規定には達しなかったものの、2位の秋山を上回るwOBA.407をマーク。近藤は4割を超える打率と、異常な数値といえる出塁率.567をマーク。山川も夏場に出番が得られるようになって以後は猛打を披露し、長打率は柳田をはるかに上回る.661を記録した。近藤と山川のwOBAはそれぞれ.490と.457でリーグ首位柳田の.430よりも高く、規定未満ながら新しい世代の強打者が見られはじめている。
この年は投打ともにタレントを揃えたソフトバンクが驚異の94勝を挙げた。これは1956年に西鉄、南海が154試合制で96勝を挙げて以来の最多勝である。