「プレミア12」は大きなチャンス 日本球界の未来は、侍ジャパンの成功にあり!【小宮山悟の眼】
11月に「WBSC世界野球プレミア12」の開催が予定されている。この大会は、国内に侍ジャパンの名を浸透させる、絶好の機会ではないだろうか。
2015/08/05
前回のWBCの戦いを憶えている人がどれほどいるのか
侍ジャパンのブランド力を高めるにはどうすればよいのか。サッカーの日本代表「SAMURAI BLUE」をモデルケースにするのが、その近道だろう。サッカー界は、野球界に比べて、組織、または意識の上でも、構図がわかりやすくハッキリしている。
日本サッカー界が目指すのは、FIFAワールドカップでの優勝。そのために国内リーグである、Jリーグが存在すると言っても過言ではないだろう。概念として、代表チームがクラブチームの上に位置している。選手、関係者、ファンを通してそういう意思統一がなされているのだ。
もちろん、野球界にすぐにそのまま真似をしろと言いたいのではない。サッカー界でそういう意思統一ができるのは、サッカーのW杯が世界最大のスポーツイベントであるからこそ。残念ながら、野球の国際大会はまだ、そこまで成熟していない。現状の日本の野球界で、いきなり、侍ジャパンの活動を最優先させても、うまくいかないことは明らかだ。
サッカーファンはもちろん、多くのスポーツファンにとって、昨年のブラジルW杯での「SAMURAI BLUE」の惨敗は記憶に新しいだろう。そして、その大多数が次回大会で雪辱することを願っている。それほど、「SAMURAI BLUE」のブランドは、日本のスポーツファンに浸透しているのだ。
一方、現在の侍ジャパンのブランド力はどうか。2年前の第3回WBCで日本代表がどういう試合をしたか、野球ファンなら憶えているだろうが、一般的なスポーツファンの方で記憶している人は少ないはずだ。野球が世界的なスポーツとして発展するためには、そういうファンの意識の部分からも、徐々に変えていかなければならないだろう。
そのためにも、野球の国際大会の価値が増すように、その歴史を着実に積み重ねていく必要があるのだ。「ぷれみあ・じゅうに」という名称だけは心配であるが……。
日本球界の未来は、侍ジャパンをどうブランディングするかにかかっていると言っても過言ではない。日本の野球少年たちの夢が「メジャーリーグでプレーすること」から、「侍ジャパンに入ること」に変わる日が来ることを願う。
―――――――――――――――――――――――
小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。