セイバーメトリクスの視点で見るNPB歴代最強打者ランキング ~1位-3位~
2021/02/21
Getty Images, DELTA・道作
1位:王貞治(1959-1980年)
wRAA通算:1333.7 ベスト5シーズン:1位 ベスト10シーズン:1位
ランキングを見る前にすでに想像されていたとは思うが、王が2位を引き離しての1位となった。通算wRAAは1333.7。リーグ平均的な打者が王と同じ数だけ打席に立った場合に比べ、1333.7点チームの得点を増やしていると考えることができる。ちなみに後述する2位の選手は744.0点であったため、王がどれだけ圧倒的かがわかるだろう。
王は、本塁打や打点といったクラシックな指標で見た場合でも、日本プロ野球において相当飛び抜けた存在であるとは思われるが、セイバーメトリクスの視点ではそれが一層際立っている。現在の多くのオールドファンが王について語るときは、もちろん本塁打が一番の話題になるだろう。しかし、王の最も驚くべき実績は本塁打などではなく、wRAAのように、生産した得点の大きさであると考えられる。
また王はwRAAベスト5シーズンだけの合計で438.5を記録しているが、キャリア通算でこの数字を超えることのできた選手は歴代わずか13人。日本のプロ野球が発足して85年になるが、現役時代のトータルで、王のわずか5年間だけの数字に届いた選手が、いまだ13人しか生まれていないというのもすごい話である。
本塁打以外のクラシックなスタッツで見た場合でも、王はたくさんのおもしろい数字が残している。例えば、打率ベスト10に入ったのは、16年連続と史上最長記録を持っており、特に昭和40年代の10年間はすべて十傑入り。さらにその半分に当たる5シーズンで首位打者となっている。このように形容すれば強力なアベレージヒッターを連想されそうである。
総合してみると、ポジティブな意味をもつ打撃指標では、ほとんどすべての項目でNPB史において圧倒的な数値を残している。実績が他選手からあまりにも突出しているため、歴史的なスタッツを俯瞰するとき、王の打撃スタッツを無視した方が興味深く見えることがあるほどだ。