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セイバーメトリクスの視点で見るNPB歴代最強打者ランキング ~1位-3位~

2021/02/21

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Getty Images, DELTA・道作



2位 張本勲(1959-1981年)

wRAA通算:744.0 ベスト5シーズン:8位 ベスト10シーズン:5位
 
 2位は張本勲となった。1960年代から1970年代前半までのパ・リーグを代表する強打者であり、wRAAでリーグ首位となったのは7回を数える。wRAAは積み上げの数字であるため、通算で高いスコアを記録するためには多くの打席数と長い全盛期が必須である。張本は高卒3年目から18年目までの間に14年連続を含む15回にわたってwRAAで30得点相当を超えるなど、おそらくNPB史上で最も長い全盛期を経験した一人である。

 wRAAベスト5シーズンでは歴代8位、ベスト10シーズンで歴代5位、通算で歴代2位と、期間が延びるほどランクが上がって行くことも、張本の継続力の高さを表している。
 
 デビュー後から10年目までに、3回の最高長打率を記録したが、最高出塁率はデビュー後9年目からの8年間に7回獲得と、出塁の面ではむしろキャリア中盤から後半に力を発揮している。キャリア後半における安打製造機のイメージと異なり、若い時期はむしろパワーの面に特性があったようだ。
 
 近年の物理的な研究により、打球速度が一定のラインを超えると、長打の確率ばかりか安打の確率まで急上昇することがわかっている。もしかすると張本の安打の多さも打球速度による部分が大きかったのかもしれない。特に昭和30年代あたりまでは身長180㎝以上の選手も、体重80㎏以上の選手もかなり珍しい時代であったが、張本はどちらも超えており、体格面で大きなアドバンテージを持っていた。
 
 また5年目の1963年には、33本塁打、41盗塁をマークしながら打率が.280という意外な結果でトリプルスリー達成とはならなかった。打率3割以上が16回、30本塁打以上が5回、30盗塁以上が2回と、トリプルスリーの各条件は複数回クリアしているが、1年に揃うことはなく、最後まで縁がなかった。3000本を超える安打を放ちながら、二塁打・三塁打・本塁打のいずれかがリーグ最多であったシーズンが一度もないこともおもしろい巡りあわせである。
 

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