セイバーメトリクスの視点で見るNPB歴代最強打者ランキング ~7位-10位~
2021/02/27
Getty Images, DELTA・道作
7位:山本浩二(1969-1986年)
wRAA通算:528.8 ベスト5シーズン:14位 ベスト10シーズン:7位
7位は「ミスター赤ヘル」山本浩二となった。入団時にはさして強力な攻撃力を示していたわけではないが、キャリア後半にリーグを代表する豪打を見せた。球団が低反発球を使用していたキャリア前半から、後半に高反発球に変更したのが最大の原因で、20代後半にピークを迎えるとされるデータ分析の常識とはかけ離れたスタッツを残している。もし一貫した環境のもとでプレーしていたら、どのような成績になっていたかが気になる選手である。8位で取り上げる門田博光と事情が似ている。
山本は同学年の衣笠祥雄と並び、長期間にわたって広島を支えた。山本は18年、衣笠は23年、ともに入団してから引退まで広島一筋でプレーしている。同学年にもかかわらず、それぞれが年間で最も優れたwRAAをマークしたのは、衣笠が1971、1972年、山本が1980年、1981年と10年近くずれているのは興味深い。同時代に全盛期を迎えた掛布雅之と分け合う形で長打率が3度、出塁率で2度リーグ首位となっている。
当時は読売戦が全国テレビ中継されていたことでセ・リーグは他5球団の選手でも一定の知名度があった。また1976年に「プロ野球ニュース」が開始。全盛期のプレーの様子を全国で見せられたという点で、メディア露出の面で不遇だった山内一弘・野村克也に比べれば幸運であった。地方球団の所属であっても知名度・認知度に不自由しない時代が来ていたのだ。
ちなみに入団時の山本はスピードが特徴の選手だったように見える。1年目から不動のセンターを務め、特に若い時期には守備指標Relative Range Factor(※2)でリーグトップを争う守備力を見せている。