セイバーメトリクスの視点で見るNPB歴代最強打者ランキング ~31位-40位~
2021/03/08
DELTA・道作
田淵、掛布――阪神の球団史に残る強打者が登場
34位は阪神・西武で活躍した田淵幸一。晩年のプレーを見ていた人にとっては意外かもしれないが、若いころは強肩が目立つ好捕手で、脚も速い万能型アスリート選手であった。盗塁阻止率も極めて高く、デビュー後5年のうち捕手として多くプレーした4シーズンすべてで驚異の5割超えを果たしている。
4000打数をクリアした打者の中で、1本塁打を放つのに必要な打席数は王に次ぐ歴代2位。NPB史上初めて規定打席に達せず30本塁打を放つなど、その長打力が歴史的なレベルにあったことを間接的に感じさせる指標は多い。ちなみに田淵は、現役を通して本塁打の出にくい球場を本拠地としていた。本塁打の出にくい球場でこれだけの数字を残したという意味で、能力の高さを感じさせる。しかしそれによって一般的な指標はそれほど伸びておらず、不運とも言える。
35位は阪急黄金期前半における中心打者・長池徳士である。負傷により活躍時期は短くなってしまったが、全盛期にはパ・リーグを代表する打者として活躍した。年度別wRAAベスト10でも2度トップとなり、高い値を記録した。本塁打、打点、長打率のトップを3度ずつ記録するなどの活躍を見せたが、最後に規定打席に達したのは31歳。若い時期に集中的な活躍を見せた打者であった。基本的に長距離打者であったが、1971年には当時の日本記録である32試合連続安打をマークしている。現役14年のうち9回も優勝に立ち会った。
36位には阪神で活躍した掛布雅之がランクインしている。高卒1年目から起用され、2年目にはレギュラー、3年目には飛びやすいボールを採用していたとはいえ、OPS(出塁率+長打率)が1.000を超える大ブレイク。これ以上ないほどの順調なスタートを切り、長く続く大活躍を予感させた。ただし、その後負傷の影響で30歳のシーズンを最後に目立った活躍がなくなり、33歳で引退。予想外のキャリアを送ってしまった。それでも、本塁打王3回、打点王1回、最高出塁率3回、最高長打率2回、最多四球3回を記録している。また打撃について注目されがちだが、Relative Range Factor(※2)という守備指標で見た場合でも、三塁手としてかなり優秀な値を残している。