ソフトバンク・萩原スカウトが“自信を持って獲得”したアンディ・ロドリゲス「大化けする可能性は十分ある」【インタビュー・前編】
最強軍団の名をほしいままにし、5年連続の日本一を目指す福岡ソフトバンクホークス。その充実した陣容の中でも出色の輝きを放つのが、リバン・モイネロ投手、ジュリスベル・グラシアル選手、アルフレド・デスパイネ選手というキューバの助っ人プレーヤーだ。そんな彼らの獲得に携わり、ホークスの中南米戦略を支えている萩原健太・中南米担当スカウト。ドミニカ共和国に拠点に置き、逸材探しに奮闘する萩原スカウトに今年も話を伺うことができた。<前編>
2021/03/30
Getty Images
発掘したモイネロ、スアレスがタイトル選手に
世界の野球界を襲ったコロナ禍は、例年100便以上のフライトで中南米を駆け回る萩原スカウトの活動にも直撃していたようだ。
「例年、日本の春季キャンプに合わせて1ヶ月ほど日本に一時帰国しており、昨年も同時期に日本にいたのですが、コロナウイルスのパンデミックにより、ドミニカに戻れたのが7月ということで大きく予定が狂いました。
もっとも、春から夏にかけて視察予定だったメキシカンリーグ、国際大会は開催されませんでしたし、10月からのウインターリーグも無観客開催ということでテレビ観戦を余儀なくされました。飛行機での外国への移動もリスクが大きいので、ドミニカに戻ってからは1度も国外へは出ていません。ドミニカでも平日21時以降、土日19時以降の外出禁止令が出されて久しいです。今はそうした制限の中で、ドミニカ国内でのスカウティング活動を行う日々です。
色々とストレスの多かった昨年でしたが、私が獲得に携わったモイネロとロベルト・スアレス(2020年より阪神タイガース)が、それぞれ最優秀中継ぎ、最多セーブのタイトルを獲得してくれたのが本当に嬉しかったです。スアレスは私がスカウトになって獲得した最初の選手、そしてモイネロは2番目の選手で共に実績がなかった選手という点でも非常に思い入れの強い選手です。タイトルを獲れる選手を連れてくるというのは目標のひとつだったので達成感がありました」
こういう状況の中で、萩原スカウトが自信を持って獲得したのが22歳のキューバ人右腕アンディ・ロドリゲス投手(育成選手)である。
「彼がキューバ国内リーグでデビューした2017年に初めて見ました。素材の良さは感じましたが、当時はストレートも140km/hに達していなかったと思います。モイネロやライデル・マルティネス(中日ドラゴンズ)より少し若いですが、彼らより見劣りするという印象でした。若年層での大きな実績もなく、2019年のプレミア12でキューバ代表に選出されたのが初の大舞台です。
ずっと追い続けてきましたがいよいよ獲得にゴーサインとなりました。直近のシーズンはキューバを訪れることができずに映像のみのチェックとなりましたが、非常に良くなっていますし、まだまだ伸びしろもあります。日本の高校球児であればきちんと一日三食は摂れるでしょうし、プロテインの摂取だってできますが、キューバは環境的に恵まれていません。以前モイネロにも食環境について聞いたことがありますが、『プロテインなんて飲んだことがないし、そもそもキューバにそんなものがあるわけないだろう』という調子ですよ。
日本に来れば、技術的にももちろんですが、身体の成長も見込めます。モイネロも初めて見た時には140km/hも出ていなかったですが、それから6、7年過ぎた今では158km/hも出せるようになったわけです。ロドリゲスも大化けする可能性は十分あると思います」