期待の大器が遂にブレーク! ベイスターズ筒香、プロ5年目の覚醒の理由
長年、将来の大砲と期待されてきた男が、今季遂に結果を出した。ベイスターズの筒香嘉智はシーズン終盤には4番も任され、来季ベイスターズの柱になることは間違いない。なぜ、今季ここまでの成績をあげることができたのだろうか?
2014/10/13
具体的な技術ポイントより、感覚的なイメージの創造を優先
横浜DeNAベイスターズは、2年連続5位の成績でシーズンを終えた。念願のCS進出は、またしても成らず。
結果論を言うと、開幕直後のつまずきが最後まで響いた。
そんなベイスターズにあって、最も来季の活躍を期待される存在が筒香嘉智だ。
初めてシーズンを通してレギュラーとして活躍し、終盤には4番も任されたプロ5年目の成績は、打率.300、22本塁打、77打点。特にリーグトップの得点圏打率.416は秀逸だった。
プロ入り以来、和製大砲と期待され続けてきた大器がついに目覚めた。
さて、この筒香の覚醒は本物なのか。来季も更なる飛躍が期待できるのか。
結論から言えば、答えは「イエス」だ。
昨年のオフ、「過去最悪だった」というシーズンを送った筒香は、「このまま終わってしまうんじゃないか」とまで思い悩んだ。その中で、打席では「自分の感覚を大事にしよう」という結論に辿り着いた。
「プロ入り当初はいつも誰かの真似をしていました。でも人はそれぞれ体格だって感覚だって違う。だから今年は自分の感覚を重視しています。たとえばホームランを打ったとき、昨年までは、ボールをバットに乗せて飛ばすという感覚でした。でも、それだと打ち損じが多くなってしまうような気がして……。今年も『うまくバットに乗ったな』という感覚のホームランもあるんですけど、それとはちょっと違う感覚も芽生えています。説明するのは難しいんですけど、ボールの軌道に対して、バットのラインを重ねるようなイメージ。今年はそういう感覚で打ちました」
もちろん打撃において、たとえば体の開きやトップの位置など、バッティングフォームの重要性は理解している。ただ今年は、そういう具体的な技術ポイントより、感覚的なイメージの創造を優先させている。
「試合前は相手投手の映像を観て、『こういうボールが来たら、こうバットを出していこう』とイメージを固めます。試合に入って、第1打席目を終えて、その映像イメージと違う感覚だったら、アプローチを変えてみる。それから、打席では常にいいイメージを持ちたいので、普段から自分の悪い時の映像は極力見ないようにしています」
9月25日、横浜スタジアムでのタイガース戦。4-4で迎えた8回裏、筒香は福原のストレートを捉え、勝ち越し本塁打を放った。
「今年一番の当たり」というライトスタンド上段への一撃は、本人が「狙いにいった」と認めたように、彼が事前にイメージした球筋と、実際の投球軌道、そしてバットのスイング軌道が一致した結果だった。
打席で自分なりの感覚を大切にすることによって、筒香は今年、結果を残した。そして、そのオリジナルの感性はぶれにくい。
もしかしたら、新たに精度の高い決め球をマスターした相手には、攻略イメージが湧かず苦労するかもしれない。だが、果たして来季、そんな投手が何人登場するのか……。
ベイスターズファンの希望の光は、来季も必ず輝く。